第1話 ページ8
｢………。｣
｢…ふぅ……。｣
『………。』
｢……遅いな…｣
すっかり日が落ち、暗くなった室内には重苦しい空気が立ち込めていた。
避難所へ救助を呼びに行った吾妻さんが、帰ってこなかったのだ。
｢マズイよこれ。吾妻君、向こうでなんかあったんじゃないかな？｣
重い空気の中、最初に口を開いたのは甲本さんだった。
｢それか、行く途中で…？｣
｢やめないか、縁起でもない。｣
どうか無事に帰ってきて欲しい。
早く救助を連れてきて欲しい。
そうは思っていても、日が完全に落ちようとしている中、正直希望は少ない。
｢いやいやいや、マズイって。マズイってこれ絶対、マズイ。俺こうなると思ったんだよ。だから1人で行かすなって…！｣
甲本さんは痺れを切らしたように声を上げ始めた。
間宮さんが自分が見に行くと言ってくれたが、これ以上分散すべきではないという本郷さん。
｢もし朝になっても救助が来なければ、全員で避難所に向かうしかない。｣
｢全員…！？｣
｢子供もですか！？｣
本郷さんの意見に、宇和島さんと紹子さんが声をあげる。
子供や老人がいる中、歩いて避難所へ行くのは危険だが、それ以上にここでの生活がキツくなってくるだろう。
意見が割れるが、食料の備蓄や、結月ちゃんの薬が少なくなってきている事実に、何も言えなくなる。
｢勘弁してくれよ…だったら警察のあんたらで助けを呼んでくればいいんじゃないか！？｣
甲本さんが声を荒らげると、気に触ったのか、等々力さんも苛立ったように椅子を蹴った。
｢なんだそれ、じゃあこっちだけあんたらの為に命かけろって言うんですか？｣
｢それが警察の役目でしょう！！！｣
｢大きな声出さないで…！！｣
『そうですよ、結月ちゃんもいるんですから…』
甲本さんも興奮しているようで、さらに声を大きくする。
この状況に苛立つのもわかるが、結月ちゃんのことも少しは考えて欲しい。恐怖で顔を埋めている。
『大丈夫？』
｢うん。｣
私が声をかけると少しだけ頷いてくれた。
『不安なのはみんな同じだと思います。でも、救助が来ないのにここにずっといるって訳にも…』
｢ご不安はわかりますが、彼女の言う通りです。我々2人だけで行って、帰ってこなかったらみなさんだけでどうするんですか…｣
私と本郷さんがそういうと、皆黙り込んでしまった。
室内にはまた、重苦しい空気が流れていた。
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なすび丸(プロフ) - さらさん» 第3話からは、もっとキャラクター達と絡みが出来るように頑張りたいと思います！ (2021年2月10日 20時) (
レス) id: 3e2c112d2d (このIDを非表示/違反報告)
なすび丸(プロフ) - koharu JAMさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです！ドラマ本編に追いつけるよう、ガンガン更新しますので、今後ともよろしくお願い致します！ (2021年2月10日 20時) (レス) id: 3e2c112d2d (このIDを非表示/違反報告)
さら - ありがとうございます！！わかります！！ホラーって難しいですよね！！私も等々力さん好きですよ！！いっぱい更新ありがとうございます！！ (2021年2月10日 19時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
koharu JAM(プロフ) - もう、面白すぎます！探してた話にどストライクです！更新待ってます！頑張ってください！！ (2021年2月10日 19時) (レス) id: d7b6616112 (このIDを非表示/違反報告)
なすび丸(プロフ) - さらさん» そうなんですね！！ホラー系なので恋愛要素いれるの難しいですが、頑張ってイチャイチャさせようと思います(？) (2021年2月10日 18時) (レス) id: 3e2c112d2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なすび丸 | 作成日時：2021年2月9日 20時
