第2話 ページ24
“ヴォ"ォォぉぉ”
しばらく休んでいたが、突然化け物達が騒ぎ出した声で飛び起きた。
まだ時間的には日が落ちるような時間ではない。
｢うぉぉおぉぉおお…｣
隣の部屋から、宇和島さんの叫び声が聞こえてくる。
まさか、もう変化してしまった…？
急いで隣の部屋へ向かうと、宇和島さんは気を失ってしまっていた。
｢もう限界だろ。｣
｢まだ早い…｣
｢責任を果たすんじゃなかったのか？｣
｢まだ早いって言ってんだろ…｣
｢仲間を呼び始めてるじゃないか！！｣
等々力さんと間宮さんが言い争いを始める。
｢正しいのは、俺だ。｣
等々力さんが静かな声で言う。
｢皆さんは、どう思います？たった一人の命と、ここにいる全員の命…どっちが尊いですか？｣
そんなの、大勢の命が救えた方がいいに決まってる。
でも、宇和島さんの命がどうなってもいいとも、私は思えなかった。
全員の命。その全員に、宇和島さんは数えられていない。
その事実がどうしようもなく苦しかった。
｢紹子さん、あの老人のために、結月ちゃんの命を差し出せますか？｣
｢…｣
｢佳奈恵さん、どうせ最後は、あの人のこと見捨てることになるんです。だったら、苦しませるだけ酷じゃないですか？｣
｢…｣
｢今すぐ楽にしてあげるのが、優しさなんじゃないか？ミンジュン。｣
｢…｣
｢ワクチンがあるかもわからないのに、ずっと体を縛ったまま、この扱いを続けるんですか？Aさん。｣
『…』
もう誰も、なにも言えない。
等々力さんが言っていることは、正しい。
その後、等々力さんと間宮さんはまだ言い争いを続けていたが、私の耳には内容が全く入ってこなかった。
間宮さんが宇和島さんと二人にして欲しいというので、俯いたまま部屋を出る。
自分の中にあった正義感が、崩れていくみたいだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 145人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なすび丸(プロフ) - さらさん» 第3話からは、もっとキャラクター達と絡みが出来るように頑張りたいと思います！ (2021年2月10日 20時) (
レス) id: 3e2c112d2d (このIDを非表示/違反報告)
なすび丸(プロフ) - koharu JAMさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです！ドラマ本編に追いつけるよう、ガンガン更新しますので、今後ともよろしくお願い致します！ (2021年2月10日 20時) (レス) id: 3e2c112d2d (このIDを非表示/違反報告)
さら - ありがとうございます！！わかります！！ホラーって難しいですよね！！私も等々力さん好きですよ！！いっぱい更新ありがとうございます！！ (2021年2月10日 19時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
koharu JAM(プロフ) - もう、面白すぎます！探してた話にどストライクです！更新待ってます！頑張ってください！！ (2021年2月10日 19時) (レス) id: d7b6616112 (このIDを非表示/違反報告)
なすび丸(プロフ) - さらさん» そうなんですね！！ホラー系なので恋愛要素いれるの難しいですが、頑張ってイチャイチャさせようと思います(？) (2021年2月10日 18時) (レス) id: 3e2c112d2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なすび丸 | 作成日時：2021年2月9日 20時
