*Fukasaki*07

かぜ ページ37

「深瀬」





......あれ...？



......この声は......さおりちゃん...？





「おーい」
「深瀬ー」






確かにさおりちゃんだ。

返事したいけど...出来ない......

どうして？





「慧くん？」
「...あれ？」




ふとおでこに感じる可愛らしい手。

なんだろう......一気に力が抜けて行く





「待ってて」



そう一言残して、さおりちゃんはキッチンに向かった。



少しして、さおりちゃんは冷えピタと加湿器を持って戻ってきた





「こんなところで寝てるからだよ？」
「夏だからって油断は大敵だし...」
「慧くんはボーカルなんだからさ...」






もしかして...おれ

やらかした？







「風邪、早く治さなきゃね」
「大人しくしててね？」









...ごめん


...おれ、自己管理できてないね...





『..ほんと...ごめん』



少しの力を振り絞って出した一言。


おれはさおりちゃんに投げ掛けた






「まぁ、人間だから」
「しかたない！」




さおりちゃんはそう言って
可愛らしい笑顔を一つ落とした。




人間だから...

そう励ましてくれるのって、さおりちゃんらしいね



ありがとう





「今、お粥作ってあげるからね」





うん...

ありがとう。






早く治すね

さおりちゃんに触れたいからさ。

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