元鬼子は、鬼殺隊になる [竈門炭治郎] (ページ18)

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No,14 ページ18

『君には、その鬼がどうして泣いてるのか分かるの？』

狐っ子君は、笑って話す。

「おれは、鼻がいいんだ。匂いで相手の感情がわかる。この鬼からは、悲しい匂いがしたんだ。」

『悲しい匂い…』

狐っ子君も心なしか寂しそうで、私も消えてしまった鬼のもとへ手を会わせにいった。

「君は、優しいんだな。他の人からする匂いは、鬼を憎んでいる匂いが凄く強かった。」

小さい頃は、鬼子と呼ばれて嬉しくなかったし、鬼のせいでこんなふうになったって憎んでた。

『昔は、憎んでたよ。大嫌いだった。でも、本当は、人だった。私達と同じだった人だった。』

私がやることは、相手を痛めつけることにしか思えない。

「君は…」

『人にした痛みは、自分に必ず返ってくる。斬られる痛みは、それ相応なんだ。だから…』

痛めつけるなんてしないで、罪の分だけ感じられればそれだけでいい。

「……君は、俺なんかよりずっと優しいな。」

『君が思うなら……そうかもしれないね…』

鬼は、嫌いだ。本能が働いて人を食ってしまう。鬼になってしまえば優しい人でさえも。

悪鬼滅滅。
鬼が嫌いな私が鬼を嫌うための言葉。