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「……、……ろ。……起きろ、A。」
「……あれ、ほまれさん……?」
体を揺すられ、ぼやけた視界綺麗にするために何度か瞬きをしながら起き上がる。
……あ、そっか。安心して眠っちゃったんだっけ。
若宮さんがホットミルクを渡しながら「どう?よく眠れた?」と聞いてくる。
「ごめんなさい、すごく寝ちゃいました……」
「いいよ、それが目的なんだから。」
くすくすと笑われ、渡されたホットミルクを受け取る。
それ飲んだら今日は帰ろうか、と微笑んだ。
頷き、ホットミルクをちびちびと飲む。
心がぽかぽかして気持ちいいなぁ。
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「じゃあね、Aちゃん。」
「はい、また明日。」
若宮さんに背を向けて玄関へと歩く。
……あ、郵便ポスト。
一応確認しなきゃ、だよね。
ポストを開けると、いつもの見たことある封筒。
また、今日も。
「……Aちゃん?どうしたの?」
そうだ、まだ若宮さんが居たんだった。
誤魔化さなきゃ、誤魔化さなきゃ。
「何でもないです。それじゃあ、また明日。」
「……うん、また明日。」
玄関のドアを開けて家に入る。
いつも通りバイクが遠ざかる音を確認して、急いで自分の部屋に行く。
部屋の鍵を閉めて、封筒の中身を確認する。
封筒の中には、私と若宮さん、私と誉さんの写真が数枚。
それと、手紙。
……開くのが怖い。
心臓がドキドキして、不安と恐怖でいっぱいだ。
数十秒が経ち、意を決して手紙を開き文字を読む。
『こんばんは、Aちゃん。今日の写真はどうだった?
Aちゃん、この人たちといると楽しそうだね。
でも、この人たちはきっと今のAちゃんみたいな怯えた表情は見たことないんだろうなぁ。
そう考えただけで優越感に浸ることができるよ。
明日はAちゃんの私生活を撮った写真を送ろうかな。
楽しみにしててね。』
……なに、これ。
なにこれ、なにこれ。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
「ッ、ゔ、ぇ、」
私は、ついに我慢できずに
気持ち悪い、いやだ、怖いよ。
私、どこから見られてるの?どこから撮られてるの?
「ひ、ぅう、っ……」
うずくまって、ただただ小さくなって声を押し殺して涙を溢す。
さっきまで若宮さんが作ってくれたホットミルクで心が温まっていたのに、今はもう冷めきっている。
もう我慢の限界だ、明日誉さんと若宮さんに相談しよう。
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春光(プロフ) - めっちゃ読んでいて楽しいです!!続き楽しみに待っております\(^o^)/ (2022年7月25日 6時) (レス) @page16 id: 51abf968eb (このIDを非表示/違反報告)
wwv(プロフ) - つづきまってます(-̩̩̩-̩̩̩-̩̩̩-̩̩̩-̩̩̩___-̩̩̩-̩̩̩-̩̩̩-̩̩̩-̩̩̩)!!ロスが…! (2022年7月2日 14時) (レス) id: 2718865c60 (このIDを非表示/違反報告)
uv - とっても面白いです!更新頑張ってください!楽しみにしています・・♡ (2022年6月26日 18時) (レス) @page16 id: 2718865c60 (このIDを非表示/違反報告)
ReinaReina0903(プロフ) - 続きまってます!更新頑張ってください! (2020年12月1日 22時) (レス) id: ff3ecb69ba (このIDを非表示/違反報告)
なしは(プロフ) - 無さん» 楽しみにしてくださっているのに、お待たせしてすみませんでした。完結に向けてのんびり頑張っていければと思います! (2020年5月23日 18時) (レス) id: 1ad63cfe88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なしは | 作成日時:2020年1月23日 0時