体質44 ページ44
.
「ん〜……っ！」
「やっと開放された……もう夕方じゃねーか。」
「結局、学校に行けませんでしたね。」
三人で警察署を出て、各々が体を伸ばす。
そして何も言わず、当たり前のように三人で歩き始める。
転校して数日で強盗に人質にされるなんて、本当に不幸すぎる。
なんて思っていると、三橋さんが"それにしてもよ、A。"と名前を呼ぶ。
三橋さんの方を向いて首を傾げれば、三橋さんは急にニヤ、と笑う。
「お前、あんな強く出れたんだな。」
……あ。
そういえば、三橋さんと伊藤さんを守るためにこの二人に手を出すな、みたいなこと言ってた。
そんなこと言われなくても自分の身は守れる、ってことだよね。
やばい、気に障ることしたかも。謝らなきゃ。
そう思い、頭を下げようとした瞬間。
「待った！Aちゃんが謝る必要は全然ないよ。」
「え、ぅ、」
伊藤さんに静止の声を掛けられ、下げかけてた頭を上げて伊藤さんを見つめる。
間抜けな声が出てしまい、少し……いや、かなり恥ずかしい。
謝る必要がないって、どういうことなんだろう。
「Aちゃん、カッコよかったよ。助けてくれてありがとう。あと、あれが素なら、もっと出していきなよ。」
伊藤さんに感謝された。
確かに、今回の強盗の件では素が出てた。あまり怯えたりしなかった。
でも、本当にいいの？
何でも言うこと聞いて、人の顔色伺ってへらへら笑って、そんな便利な人間じゃなくていいの？
どうしよう、嬉しくて泣きそう。
「ありがとう、ございます……」
泣きそうになるのを隠して、私はお礼をする。
「もうビクビクしてんなよ。また舐められるぞ。」
ケケケ、と笑いながら言う三橋さん。
泣きそうになってたの、バレてたかな。
「そうそう、Aちゃんはビクビクしてるよりあんな風に強く出れる方が関わりやすくていいな。」
関わりやすい。
……そっか、もう
なんでそんなことも分からなかったんだろう。
あーあ、ほんとバカみたい。
ふふ、と自然と笑みが溢れた。
「けど！」
伊藤さんは少し怒った表情だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1048人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽちこ(プロフ) - あの話はかなり初期の頃だった記憶があります（西森先生の描き方が）相良君との絡みも楽しみにしています(^^) (2019年1月24日 20時) (携帯から) (
レス) id: 1eeed30fc4 (このIDを非表示/違反報告)
なしは(プロフ) - ぽちこさん» コメントありがとうございます！強盗の回は本当にお気に入りで、どう絡ませようか悩むことが楽しかったです(*´∀｀笑) もう少しでパート2に移行しますが、続編でもどうぞよろしくお願いします(*^_^*) (2019年1月24日 13時) (レス) id: 7e481143a8 (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - はじめまして。楽しく読ませていただいてます(^^)
強盗のくだりは原作で読みましたが面白いですよね。
お話の更新をお待ちしております(^_^)v (2019年1月22日 23時) (携帯から) (レス) id: 1eeed30fc4 (このIDを非表示/違反報告)
クソすぎる駄作者(プロフ) - なしはさん» カッパが似すぎてて面白いですよねw頑張ってください！ (2019年1月15日 3時) (レス) id: 2effaca00b (このIDを非表示/違反報告)
なしは(プロフ) - クソすぎる駄作者さん» コメントありがとうございます！そうなんです、強盗の話は伊藤が少し可哀想なのが面白くてお気に入りなので、書いてみました(*^^*)応援ありがとうございます、更新頑張ります！ (2019年1月14日 21時) (レス) id: 7e481143a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なしは | 作成日時：2018年12月7日 22時
