体質13 ページ13
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あっという間に放課後になり、そんなにない荷物を鞄に詰め込む。
皆の邪魔にならないように、早々と帰ってしまおう。
まだ部屋の片付けも終わってないし。
そう思い、席を立ったとき、隣の三橋さんに声を掛けられた。
「なぁA。」
「は、はいっ。」
急に話しかけられてびっくりしちゃったけど、何の用だろう?
「Aって引っ越してきたばっかだろ?俺がこの千葉を案内してやるよ。」
にこやかに笑う三橋さんは、"断られるわけがない"という自信満々の表情だった。
どうしよう。
ツッパリの誘いを断るとろくなことがない、し、本当にどうしよう……。
と、そこに伊藤さんが。
「Aちゃん、三橋と居ると危ないことばっかり起こるよ。だから俺と一緒に帰ろう?」
「オメーも俺と同じくらい喧嘩に巻き込まれてンだろーが。」
にこっと優しく笑って誘う伊藤さん。
それを気に食わないと言いたげな顔でツッコミを入れる三橋さん。
二人は私を挟んで睨み合う。
だ、だから、今日は無理なのに……!
怖くて言えないから、察してくれない、かなぁ。
なんて思っていると、二人は同時に私を見てこう言った。
「俺と帰るよな?!」
「いや、俺だよね?!」
ぐい、と顔を寄せて迫る二人に恐怖という感情しかない私は固まってしまっていた。
ど、どうしよう……ツッパリを怒らせない誘いの断り方を誰か教えて……っ……!
「あの、ぇと、」
どうしよう。どうしよう。
キャパオーバーでまた泣きそうになってきた。
と、そこに救世主が登場した。
「ちょっと三ちゃん、伊藤ちゃん!何いじめてるのよ!」
理子、ちゃん。
教室に入ってきた理子ちゃんは二人の顔を交互に見て、そんな二人から私を離すように抱き寄せた。
……あ、理子ちゃんいい匂い。
えへへ、安心する。
「……Aちゃん、泣いてるの?」
「…………え?ゃ、えと、?」
「三ちゃん、伊藤ちゃん。泣かせるまで追い込むなんてサイテーよ。」
二人はほぼ同時に"エッ"と声を洩らし、ほぼ同じ表情をしていた。
困惑とか、驚きとか、色々混じったような表情。
そんな二人を置いてけぼりにするように、理子ちゃんは"行こ、Aちゃん。"と言って私の腕を引っ張った。
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ぽちこ(プロフ) - あの話はかなり初期の頃だった記憶があります(西森先生の描き方が)相良君との絡みも楽しみにしています(^^) (2019年1月24日 20時) (携帯から) (レス) id: 1eeed30fc4 (このIDを非表示/違反報告)
なしは(プロフ) - ぽちこさん» コメントありがとうございます!強盗の回は本当にお気に入りで、どう絡ませようか悩むことが楽しかったです(*´∀`笑) もう少しでパート2に移行しますが、続編でもどうぞよろしくお願いします(*^_^*) (2019年1月24日 13時) (レス) id: 7e481143a8 (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - はじめまして。楽しく読ませていただいてます(^^)
強盗のくだりは原作で読みましたが面白いですよね。
お話の更新をお待ちしております(^_^)v (2019年1月22日 23時) (携帯から) (レス) id: 1eeed30fc4 (このIDを非表示/違反報告)
クソすぎる駄作者(プロフ) - なしはさん» カッパが似すぎてて面白いですよねw頑張ってください! (2019年1月15日 3時) (レス) id: 2effaca00b (このIDを非表示/違反報告)
なしは(プロフ) - クソすぎる駄作者さん» コメントありがとうございます!そうなんです、強盗の話は伊藤が少し可哀想なのが面白くてお気に入りなので、書いてみました(*^^*)応援ありがとうございます、更新頑張ります! (2019年1月14日 21時) (レス) id: 7e481143a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なしは | 作成日時:2018年12月7日 22時