ルームシェア【志麻】 (ページ27)

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｢あれ、A。その言い方やと、運命の人を見つける方法を知ってるような口振りやな｣
『そんな訳ないでしょ。知ってたらとっくに使ってるよ。志麻こそ、何か知らないの？』
｢そうやなあ｣

志麻は上を向いて考え始めた。

｢ありきたりな方法で言うと｣
『何かあるの！？』
｢ほら、よくドラマとかであるやろ。彼氏に不満はないねんけど、なぜか心に晴れへん気持ちを抱えてる女の人がおって、でも結局、流れでふたりは結婚を考える、みたいな展開の話｣
『うん、あるけど.....』

私はむしろ、それはドラマだけではなく、現実世界のほとんどのカップルがそうなのではないかと考えていた。

『で、それがどうしたの？』
｢やけど、ドラマではそんなとき、昔好きやった人が急に現れたり絡まれてるところを見知らぬ人に助けてもらったり、とにかく、その婚約者とまったく違う感じの運命の人が現われるっていう展開になんねん｣

酔っぱらいの私なりにここまでの話を整理した。

『つまり、誰かを生け贄にすれば運命の人に出会えるってこと？』
｢生け贄って、なんか生々しいな｣
『でも、そういうことでしょ？』
｢まあそうやな｣

志麻は生け贄という言葉を、少しオブラートに包んだ表現に変換してくれた。

｢ヒツジという理想的な相手がいんねんけど、そんなときほど、どこからともなくヒツジとは違ったタイプのオオカミという運命の人が現われるってことやで｣
『何？そのヒツジとかオオカミって』
｢生け贄と言えば、ヒツジやろ｣
『う～ん、なんか現実味ないなあ』
｢そうかもしれへんけど｣