ルームシェア【志麻】 (ページ26)

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しらふのときなら志麻だけでなく誰ともこんな話は絶対にしないが、今日の志麻にはどんな話でも聞いてくれる雰囲気があった。

腕を組み、目をつぶっていた志麻は、こう答えた。

｢どうなんやろな｣

そしてゆっくりと目を開けて言った。

｢まあ、結果論のような気もするし｣
『結果論ってどういう意味？』
｢最後までうまくいけばそれは運命やって言えるやろうし、逆に最初の出逢いが運命的やと思っても、最後でダメになったら、それは運命やなかったってことやろうし｣
『なるほど、それもそうかもね』

つまり運命とは、ふたりの関係を高貴で神秘的なものにするための後付けのサブタイトルのようなもの、と酔っぱらいの私は解釈していた。

志麻は真面目な顔で話を続ける。

｢でもAが、運命の人とかそういうことを言うとは、ちょっと意外やったな｣
『私がそんな、かわいい女っぽいこと言っちゃダメなの？』
｢そうやないよ｣

と彼は笑顔で否定した。

｢それにAはもとから女っぽいし｣
『バカ志麻、それ褒めてくれてるの？』
｢大絶賛してんで｣
『ウソっぽいよ』
｢もっと素直になりーや。そしたら運命の人が現れるかもしれんで｣
『素直になったって運命の人は見つからないよ』

そんなことで運命の人が見つかれば苦労はしない。
私が素直になったところで、会社で上司を殴ってクビになるか、よくて休職扱いにされてセラピーに通うのがオチだ。

しかし志麻の受け止め方は違っていた。