ルームシェア【志麻】 (ページ17)

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テレビと音楽プレーヤーの無機質さには違和感があったが、オーナーがイギリスで見つけてきたというテレビ台代わりのテーブルがそのバランスを修正してくれていた。
さらには、いまだに使っていないが、暖炉まであった。

キッチンは白を基調としたレトロなテイストの水回りに、1部、煉瓦が使われている壁、食事をとるための大きいウッドカウンター、クローバーパターンのカッティングが施してあるアンティークのカップボードのなかにはシンプルなデザインの食器類がきれいに整理されている。

リビングを見て出てきたのは、感動のため息だけだった。

呆然とソファに座る私に、志麻は淡い緑色のカップに入れた紅茶を出してくれた。

｢でも、女の子が来るなんて、浦田さん、言ってへんかったのになあ｣
『なんて聞いてたんですか？』
｢今日、山根っていう名前の、俺と2つ歳下の新しいルームメイトが来る、って言われてただけ｣
『.....ルームメイト？』
｢そう、ルームメイト｣

志麻は固まっていた私を無視して言った。

｢この部屋は2LDKで、それぞれ個別に寝室があって、あとはリビング、バス、トイレその他全部共用｣

夢のひとり暮らしの想像図は粉々に砕かれ、代わりに男と同居するという現実が現れた。
そして、別の部屋で一緒に住むと言っていた姉の話の意味がやっとわかった。