ルームシェア【志麻】2 (ページ1)

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3. 背中の想い出ページ1

イライラする。
ストレス全開で全速力な気持ちでおかしくなる。
日本語がこんなふうに乱れてしまうほど、この2週間は忙しかった。

大型連休前に仕事を片付けてしまわなければならないのはよくわかる。
でも、日本という国は、心豊かな生活を送るためにみんなで一生懸命働いて経済大国になったはずなのに、実際はそんな心の豊かさはどこを探しても見つからない。
日本人の感覚は仕事に忙殺にされて狂わされている。
これは国家の陰謀だ。

そんな日々だったため、この2週間は志麻と一緒にごはんを食べることはほとんどなかった。
なので、やっとの思いで迎えることのできた大型連休の初日の朝、正確に言えば昼過ぎに起きて志麻と会ったとき、なんだか久しぶりな気がした。

｢おはよう、A｣

『.........』

私には志麻のあいさつに応える元気もなかった。
それくらい、仕事のストレスがたまっていた。

おまけに志麻がソファにもたれて優雅にテレビを観ていたので、私は無意識のうちにイラついてしまった。
そのため、私は志麻が入れてくれた紅茶を、感謝の言葉も述べずに飲み干すという失礼な行動をとってしまった。

親しき仲にも礼儀あり、という素晴らしい言葉が日本にはあるが、でもどこかで多少は気を抜かないと身が持たない。

つまり、多少の礼儀と多少のわがままのバランスをうまく取ることが、男女の同居を成功させるコツだと思う。
ふたりのあいだでいくつかのルールを設けることで、その関係性はさらによいものになる。

したがって、私の疲れがピークに達しているときのルールが、私たちのなかではきちんと設けられている。

私は志麻を床に追いやって、ソファで横になり、眠たさが伝わるような声で話しかけた。

『志麻～』

｢はい、はい。なんでしょうか？｣

『アレ、してほしいんだけど』

｢アレかあ.....30分くらいでええか？｣

私はグッと親指を立て、〈OKです〉と志麻に返事をした。