２８．試験終了 ページ30
先ほどまで建物の上に居たであろう彼の顔。
どうやら彼の個性らしいテープで助けられたようだ。
今も水樹を抱えてくれている。
しかし、突然のことすぎて言葉が全く出てこない。
そんな水樹に目の前の彼は少し笑って動き出した。
？？「じゃあ俺たちも逃げんぞ！」
水樹「逃げるって・・・」
ここは建物の上。
しかも水樹のことを抱えたままだ。
バランスを崩せば2人まとめて地面に叩きつけられる。
しかしそんな心配いらなかった。
水樹「！・・・すごい・・・」
この少年は水樹を抱えたまま器用に肘からテープを伸ばし、建物に貼り付け移動し始めた。
その光景に水樹は目を輝かせた。
？？「すげーだろ！」
そんな水樹に少年はまたニカっと笑った。
水樹を助けた時もそうだが、彼はよく笑う。
その雰囲気は危ない状況でもどこか安心できた。
？？「地面降りっから、舌噛むなよー！」
されるがままだった水樹は彼の声で気づき、驚いた。
もう随分とさっきまでいた場所から離れていた。
そしてまた軽々と地面に着地した彼。
その身軽さに水樹は感心してばかりだった。
？？「立てっか？」
そしてとても優しい。
助けてくれたこともそうだが、着地してもなお水樹の体を気遣ってくれた。
水樹「うん、大丈夫。」
この少年が運んでくれたおかげでだいぶ休むことができた。
水樹の返事を聞くと彼はこれまた丁寧に水樹を降ろしてくれた。
？？「よっと。」
水樹「た、助けてくれてありがとうっ！」
水樹はようやく言うことができた。
ほんとはもっと早く言うべきだったのだが、言葉が出なかったのだ。
少しだけ緊張した面持ちの彼女に、少年はまた笑った。
？？「大したことじゃねえよ。それにありがとうはこっちの方だしな。」
水樹「え？」
？？「俺もあそこに何人かいんのわかってたけど、逃げようとしてた。ぜってえ敵わねえって。でもそん時あんたの姿見て、動かされちゃったわけよ。かっこよかったぜ！ありがとな。」
こんなことを言われたのは初めてだった。
人からかっこいいと、ありがとうと言われるのはこんなにも恥ずかしくて、嬉しいものなのか。
何とも言えないこの気持ちを何とか口にしようとした、その時。
マイク『試験、終了〜〜〜！！！！』
試験の終わりを知らせるマイクの声。
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キジ(プロフ) - 白丸さん» ありがとうございます・・・！！頑張ります！ (2020年4月20日 17時) (
レス) id: 526360bfc9 (このIDを非表示/違反報告)
白丸 - 作者様の作品とても面白かったです！ 更新頑張ってください！ (2020年4月17日 1時) (レス) id: 80fa021f90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キジ | 作成日時：2020年4月4日 22時
