第411話 海軍本部発、フーシャ村行きの船が出航します ページ1
海軍本部に到着してから、丁度三ヶ月と数日が過ぎた日の昼過ぎ。
物資の運搬やら遠征に行っていた者達で賑わう船着場の一角で、今から出発しようという船の見送りにと、結構な人数が集まっていた。
「いやぁしっかし、ほんとに一か月でマスターしちゃうとはねぇ・・・」
「だってクザンもボルさんも、すっげーわかりやすかったからな！あ、でも、せんせーには負けるけど！」
感慨深げに、しかしどこか呆れたように言葉を溢した青雉に、少女は無邪気な笑顔で告げる。
ちなみにそのボルサリーノは仕事の都合上で見送りには来れなかったが、本当は来たかったらしい。
ならば今この場でAの相手をしているクザンが何もやることが無いのかと言えば、それは嘘である。
彼はいつも通り仕事をサボっているだけなので、後で元帥から怒られることは火を見るより明らかなのであった。
「オイオイ勘弁してよ、あの人と比べられちゃア困るって」
しかしそんなことをとっくに頭の中から放り出しているサボり魔は、お手上げ、と両手を肩まで持ち上げてみせる。それを見たAは愉快そうにけらけら笑った。
この子は、その“せんせー”が一体全体海軍にとってどういう人なのかを知らないのだ。
何も知らないままに、教えられるがまま、与えられるがままの知識を全て取り込もうと貪欲に。
「・・・まったく、さすがガープ中将の孫だよ」
思わず漏らした言葉は案外聞こえていたらしい。少しだけ驚いたように目を見開くと、少女は何故か得意げな笑みを浮かべ、どうだすごいだろと言いたげに胸を反らした。
そんな幼子の頭を撫でてやりながら、色んな意味で末恐ろしいな、なんて口をついて出そうになった言葉は飲み込んで、胸の内に留めておく。
ふと視線を少女から外して船の方へ向けると、もうそろそろ出港の準備も終わりそうなことに気が付いた。
「そろそろ部屋に荷物だけでも置いてきたら？」
船に荷物を積み込むよう促せば、少女はなんの疑いもなく大きく頷いて、己の乗るであろう船まで駆けて行く。
遠ざかっていく小さな背中を眺め、三大将の男は何かを見定めるように目を眇めた。
「・・・“D”はまた、嵐を呼ぶ＿＿＿＿か」
口から零れた呟きは、誰の耳にも入ることなく喧騒の中で溶けて掻き消えた。
それから少しして視界に入って来た少女の姿を見とめると、クザンは口元を緩め、駆け寄ってきたAを受け止めた。
空は快晴、波は穏やか。少女の故郷に向けて、舵を取る＿＿＿＿＿
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師走(プロフ) - 平野澪さん» 先日に引き続きありがとうございます……！！少し更新ペースは遅くなりますが、気長にお待ちいただけると幸いです……！！ (2022年6月8日 14時) (
レス) id: 5000983d6f (このIDを非表示/違反報告)
平野澪(プロフ) - ほんとに面白い！！ずっと応援しています！頑張ってください！ (2022年6月7日 21時) (レス) @page30 id: 46f0f08380 (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 平野澪さん» コメントありがとうございます！！大好きと言っていただけて、とても光栄です……！！ (2022年6月3日 7時) (レス) id: bdf3575371 (このIDを非表示/違反報告)
平野澪(プロフ) - 面白かった！！！！大好き♡ (2022年6月3日 0時) (レス) @page28 id: 46f0f08380 (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 団方さん» 今回も本当に長い間開けてしまい申し訳ありません……！本当にお待たせしてしまいますが、絶対に途中で失踪などはしませんし、完結させますので、よろしければ読んでいただけると幸いです……！乾燥ありがとうございます！励みになります！！ (2021年10月10日 15時) (レス) id: 5000983d6f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっすん | 作成日時：2018年10月26日 19時
