第388話 実はこういうことでした ページ8
「・・・とりあえず、休憩でいいのか？」
「ああ、そうしてくれ」
今のところ、作業がひと段落着いた隊から休憩に入らせているのだそうだ。
問題の先延ばしでしかないが、他に良い案が思いつくまでは、こうやって時間を稼ぐつもりらしい。
「休憩、つっても・・・なァ」
与えられた指示を小さく繰り返し、イゾウは一つ息を吐いた。
マルコと一度別れ、己が率いている16番隊の皆に伝えたは良いものの、
皆の反応はあまり芳しくなかった。
それもその筈。気晴らしになるようなものがない、この小さな島で。
やることがなくなれば、どうしても考えてしまうのだ。
＿＿ああ、オヤジは、エースは。死んだのだ、と。
口を突いて出そうなその思いを、皆必死に飲み下す。
だが、そう思っていることは皆お互いに分かっている。
分かっていて尚、その事について口をつぐむ。
だからこそ、変に重く、変に明るい矛盾した空気が漂っているのだ。
ならば船に戻れば良いのでは、と思うかもしれない。
部屋に逃げ込めば、いくらでも独り言として吐き出せるではないか、と。
だが、その船もまた問題なのだ。
それこそ家のような存在だったモビー・ディック号ではないのだ、今乗っているのは。
家具やら小物やらは、シャッキーに預けていたので被害はなかった。
確かに、被害はなかった。
だが、船の中に居れば居る程、違和感が強く押し寄せてきて、居心地が悪い。悪過ぎる。
それならばいっそ、雰囲気が破茶滅茶でも、仲間たちの居る外の方がマシ。
そう考える者がほとんどだった。
「・・・よし、寝るか」
だが、生憎とイゾウは、その大多数には含まれていなかった。
実はこの16番隊隊長、昨日の夜から今日未明にかけての不寝の番だったのである。
そのおかげで、体が睡眠を欲していたのであった。
そうと決まれば話は早い。さっさと体を休めてしまうに限る。
芝生で寝転がってもいいが、どうせなら寝台の上にしよう。
どうせ、悪夢しか見ないのだから。それで飛び起きてしまうくらいの、浅い睡眠なのだから。
流石にそんな様を、まさか他の隊員達に見せるわけにもいかない。
そんな投げやりな思いを胸に、イゾウは船に足を踏み入れた。
そして、自室だとあてがわれた部屋に向かう最中に、
廊下の壁にもたれ掛かって座り込んでいたAを発見した。
これが、事の顛末であったのだった。
第389話 おそようございます→←第387話 現場監督はマルコです
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 460人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
師走(プロフ) - まつりなさん» ありがとうございます！！これからも更新頑張りますので、応援よろしくお願いします！！ (2018年8月30日 11時) (
レス) id: c0b11b67c2 (このIDを非表示/違反報告)
まつりな - 続編おめでとうございます！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年8月28日 19時) (レス) id: 1c501748bb (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» はい！毎日更新を目標に頑張ります！！ (2018年8月24日 14時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - こちらこそすいません；その代わり最新頑張ってくださいね。コメントだけどケーキでどうぞ。 (2018年8月24日 7時) (レス) id: 9b1c982b1b (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» 前にも申し上げました通り、自分はケロロ軍曹について然程知識を持ち合わせておりません。ですので申し訳ないのですが、お断りさせて頂きます。申し訳ありません。 (2018年8月24日 0時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やっすん | 作成日時：2018年8月23日 10時
