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第406話 船の中って案外何もない ページ26

村の小さな港を出てしばらくは、甲板で海を見たり、帆を張ったり緩めたりと色々手伝っていた少女だったが。

「手伝い助かったぞー」
「いつも悪いね、手伝わせちゃって」

などなど、要は子供に手伝わせる分は終わったと追い出されてしまったのである。

Aとしては結構不服で、だけども文句を言って皆を困らせるのも本意ではない。
妥協として頬に空気を溜めて不満を表していた、のだけれども。

齢10にも満たぬ少女が両頬を膨らませてみたところで、妻子持ちの海兵には可愛らしく映るし、家庭を持たない海兵には愛らしく見えるので全く効果は無かったのだが。

そのことにAが気付くのは、もっと先のお話である。

だがその代わりにと、希望者のみではあるが昼過ぎに行われるという組手の訓練は参加してもいいという許可が下りたらしいので、今は我慢しようと祖父の居るであろう部屋に向かう。

いくら同年代の子供と比べて少々大人びている部類であるAでも、部屋に一人で居るのは暇で暇でしょうがない年頃なのである。

「じーちゃーん、来たぜー!」

遠慮なく扉を開ければ、立派な大きい机の上に山積みの書類、それを取り囲むように何人かの海兵達が椅子に腰かけて書類をとっかえひっかえしている。

さて、部屋の主はと言えば。

「中将、締め切り間近の提出書類がまだ出来上がっていないのですが」

幾つかの書類を手にしたボガードの目の前、座り心地の良さげな三人用のソファを一人で陣取り、目当ての人物はせんべいを喰らっていた。

「面倒!!お前がやっとけ!!」

「いや中将も手伝って下さい。これ、貴方がこの間海賊を捕らえた際に建物を壊したことの反省文です」

「えー!!いいよ」

毎度のやりとりである。少将さんも手馴れたもので、既に書類の仕分けを終えている。

「なーなーじーちゃん、なんかやることねェ?ヒマ!」

てこてこ近寄って隣に腰かければ、軽々と持ち上げられて足の上に座らされる。
ついでに目の高さまで下ろされたせんべいの袋に手を突っ込み、海苔付きの醤油せんべいを取り出す。

「じゃあA、お前これやるか?」

ばりばりと良い音を立てながらせんべいをかみ砕き、手渡された書類を少女に見せる。

「子供に何させようとしてるんですか中将・・・」

心底呆れたような部下の言葉に、しかし老年の中将は大口を開けて笑うだけ。孫娘も、このやりとりを見て面白そうに笑っている。

第407話 ガープの孫だもの、仕方ないよね→←第405話 ほぼ娘みたいな扱い



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師走(プロフ) - まつりなさん» ありがとうございます!!これからも更新頑張りますので、応援よろしくお願いします!! (2018年8月30日 11時) (レス) id: c0b11b67c2 (このIDを非表示/違反報告)
まつりな - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年8月28日 19時) (レス) id: 1c501748bb (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» はい!毎日更新を目標に頑張ります!! (2018年8月24日 14時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - こちらこそすいません;その代わり最新頑張ってくださいね。コメントだけどケーキでどうぞ。 (2018年8月24日 7時) (レス) id: 9b1c982b1b (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» 前にも申し上げました通り、自分はケロロ軍曹について然程知識を持ち合わせておりません。ですので申し訳ないのですが、お断りさせて頂きます。申し訳ありません。 (2018年8月24日 0時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やっすん | 作成日時:2018年8月23日 10時

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