第400話 恐れていたこと ページ20
思わず立ち上がって見下ろした赤髪の海賊の目は、やるせなさそうな、悲しそうな色を浮かべてこちらを見ていた。
その視線に、熱が、溶ける。どろり、胸中に蔓延って。喉が絞られるような感覚。
「ぁ」
ひぐり、喉が鳴った。胸が痛いくらいに圧迫されて、締め付けられて、驚くほどに熱くて。
「ぅ、あ、ぁ」
込み上げるそれを押し留めようと身を屈めても、苦しさは増すばかり。勝手に嗚咽が溢れ出して、止まらない。
「＿＿＿＿堪えるな」
いつもより低く、心に沁みる柔らかな声。全てを許されたような錯覚に陥りそうになる。
ぬるま湯に足を突っ込んでいるような感覚が、酷く恐ろしくて。
「・・・っやだ、やだぁっ！！」
歩み寄ろうとする温かなソレを拒むように、数歩後退る。
駄々っ子のように首を振り、俯いて堪えるように下唇を噛んで、何かを押さえつけるように胸の辺りをぎゅっと掴んで離さない。
その仕草に、シャンクスはふと気が付いた。
Aは泣くことや悲しむことを嫌がっている、というわけではない。どちらかといえば＿＿＿＿そう。
「・・・A、お前・・・何をそんなに怖がってる」
その言葉に、少女は小さな肩を跳ねさせる。ひぐり、細い喉の奥から吐息になり損ねた空気が漏れ出した。
「・・・だって、だってみんな、みんな悲しんでてっ！なのに、うちが悲しんでたらきっと、みんな自分のこと、後回しにしちまうっ・・・！それは、っそれは、だめだっ」
震える声を必死に絞り出した少女の慟哭は酷く悲痛で、聴いているこちらの方が泣きそうになる。
己の考えを口に出したことで、感情が昂ってきたのだろうか。勢いよく顔を上げると、溜め込んでいたものを吐き出し始めた。
「だってだって、うちが悲しんでちゃいけないんだ！！うちが泣いたら、そしたら、みんな、みんなこまっちまう！！
うちが、っうちが、わらってなきゃ！みんな、わらってくれねぇっ・・・！！」
いつの間にか視界が滲んで、目の前のくすんだ赤がぼやける。困ったように眉が下がるのが見えて、ますます胸の奥が締めつけられる。
やっぱり、だめだ。うちが泣いたら、皆が困っちまう。
なのに、胸の奥が痛い。どうしてかはわからないけど、痛い。
笑わなきゃ。笑わなきゃ。うちは、いっつも笑ってなきゃ。
そう思うのに。意志に反して、視界はどんどん歪んで、滲んで。
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師走(プロフ) - まつりなさん» ありがとうございます！！これからも更新頑張りますので、応援よろしくお願いします！！ (2018年8月30日 11時) (
レス) id: c0b11b67c2 (このIDを非表示/違反報告)
まつりな - 続編おめでとうございます！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年8月28日 19時) (レス) id: 1c501748bb (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» はい！毎日更新を目標に頑張ります！！ (2018年8月24日 14時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - こちらこそすいません；その代わり最新頑張ってくださいね。コメントだけどケーキでどうぞ。 (2018年8月24日 7時) (レス) id: 9b1c982b1b (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» 前にも申し上げました通り、自分はケロロ軍曹について然程知識を持ち合わせておりません。ですので申し訳ないのですが、お断りさせて頂きます。申し訳ありません。 (2018年8月24日 0時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっすん | 作成日時：2018年8月23日 10時
