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第398話 弔いなんざ性に合わねェ! ページ18

「・・・そう、だねい・・・」

座り込んだ末妹に駆け寄る皆を眺め、長兄は小さく呟いた。

いつまでも悲しんでばかり居られない。自分達はもう大丈夫だと、オヤジやエースに伝えなければならない。

だから、これが、最後だ。オヤジを、エースを想って泣くのは、今日で おしまいにしよう。

そう皆に伝えれば、あとはもう、海賊としてはやることなんてたった一つしかなかった。

ありったけの酒を持ち出して、とびっきりの飯を用意して。新しく建てたばかりの墓の前で、赤髪達をも巻き込んだ盛大な宴を開いた。

日が沈んで酒を呑んで、月が昇って飯を食って、ただひたすらに騒いだ。

泣いて泣いて、涙が枯れてしまいそうなほど泣いて。
月が沈んだ頃、心の膿を全て出し切った者達は泣き疲れて、それでもどこか穏やかな眠りについた。

だがここに一人、それでも泣けなかった者が居た。

彼女は寝落ちてしまった皆に毛布をかけ、辺りに散らばった空き瓶や皿を回収、綺麗に洗って元の棚に戻していく。それから朝食の下準備を終えて、それでようやく手を休めた。

手近な椅子に腰を下ろし、固まった体を解すように軽く伸びをする。

「ふぅ・・・」

泣くなら今しかねェって、思ったのになぁ・・・

ぼんやりとそんなことを考えて、昨夜のことを思い返す。

シャンクス達が気を利かせて、早々に船に戻っていった後も、皆そのことに気付きもせずに騒いでいた。

助けられなかった悔しさを吐き出して、一緒に思い出を語り合ったりして、皆一様に泣いていたのに。自分だけは、どうしてだか涙が出なかった。

懺悔は己が身のことのように思えて鼻の奥がつんとしたし、懐かしい思い出は楽しいことが脳裏に蘇ってきて胸がじわりと暖かくなった。

なのに、どうしてだか涙は流れなかった。

「あー・・・」

ああ、いけない。また変なこと考えてる。

気分転換でもしようと外に出ると、まだ少し肌寒い風が頬を撫でた。柔らかな芝生が裸足の足の裏をくすぐって、ほんの少しこそばゆい。

辺りを軽く見渡せば、至る所に植えられた色とりどりの花々が、海の風に揺られていた。

素足のまま、まだ日が昇らぬ薄暗い中を歩く。

「びんくすーのさぁーけをっ、とぉーどけぇーにゆっくよ、うーみかーぜきぃーまかぁーせ、なぁみまぁーかせぇー・・・」

呟くように口ずさんだ唄は、少し冷たい潮風に乗ってどこかへと運ばれていく。



____少女の朝はまだ、やってこない。

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師走(プロフ) - まつりなさん» ありがとうございます!!これからも更新頑張りますので、応援よろしくお願いします!! (2018年8月30日 11時) (レス) id: c0b11b67c2 (このIDを非表示/違反報告)
まつりな - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年8月28日 19時) (レス) id: 1c501748bb (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» はい!毎日更新を目標に頑張ります!! (2018年8月24日 14時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - こちらこそすいません;その代わり最新頑張ってくださいね。コメントだけどケーキでどうぞ。 (2018年8月24日 7時) (レス) id: 9b1c982b1b (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» 前にも申し上げました通り、自分はケロロ軍曹について然程知識を持ち合わせておりません。ですので申し訳ないのですが、お断りさせて頂きます。申し訳ありません。 (2018年8月24日 0時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やっすん | 作成日時:2018年8月23日 10時

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