第392話 隊長代理はまだ継続 ページ12
オヤジに拾われてからというもの、限界まで再生の炎を使い果たしたことはない。
読んでいた新聞を折り目に沿って適当に折りたたみ、机の上に投げ出す。
視界の端で、小さな肩がほんの少し跳ねた。
今更になって、ヤバいとでも思っているのだろうか。
だがここで叱責の手を緩められるほど、今のマルコには余裕がなかった。
この弱点、もとい副作用。例外的に末妹には伝えていた。
まさかこの事実を伝えずに、
なのに、Aは。
「・・・気付かないとでも、思ったのかい」
言い方は悪いが、侮られ、舐められているのかとも思えた。
そんなことにも気が付かないと思っているかと、詰ってしまいそうになる。
だがそれとは別に、妹の本心とは全く違うことを知っている。
ただ心配させたくないだけなのだと、分かっていても。
長兄の明確な怒りに触れたことで、末妹は逆に落ち着いたらしかった。
「・・・マルコ以外には、バレねェだろ」
小さく告げると、握り締めていたスプーンを手放して、空になった器に入れる。
程なくして少女の発言の意味を理解した長兄は、まさか、と唸るように呟いた
「でなきゃ、わざわざ言わねェっての」
少し疲れたように息を吐き出した少女は、不死鳥への全幅の信頼を前提に話していたのだ。
単純に治ったと言っても信じてはもらえない。
しかしここで、マルコの能力を使えるとなれば状況は変わってくる。
再生の炎が使用出来るなら本当に大丈夫だろうと、周囲は納得する。
しかし使える筈がないと知っているマルコには、
もし自分に何かあれば誤魔化してくれと。
いわば、共犯者になってくれと言っていた。
「うちが、いつまでも寝てるわけにもいかねェだろ。・・・2番隊の副隊長は、うちだ」
食器を片すべくこちらに向けられた背が、どうしようもなく小さく見えた。
マルコは後から聞いた話だが、
エースはAに“自分が戻るまで2番隊の隊長を任せる”と言っていたらしい。
「2番隊の隊長は、まだ、オレだ」
淡々とした中にも確固たる意志が垣間見える、
大きくはない声が、誰もいない静かな食堂に響く。
＿＿＿＿ならば。もう二度と戻って来ない、彼の代わりは。
そのことに気付いた不死鳥の喉から、おかしな音を立てて空気が零れ落ちた。
＿＿＿＿A以外には、いないということになるではないか。
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師走(プロフ) - まつりなさん» ありがとうございます！！これからも更新頑張りますので、応援よろしくお願いします！！ (2018年8月30日 11時) (
レス) id: c0b11b67c2 (このIDを非表示/違反報告)
まつりな - 続編おめでとうございます！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年8月28日 19時) (レス) id: 1c501748bb (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» はい！毎日更新を目標に頑張ります！！ (2018年8月24日 14時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - こちらこそすいません；その代わり最新頑張ってくださいね。コメントだけどケーキでどうぞ。 (2018年8月24日 7時) (レス) id: 9b1c982b1b (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» 前にも申し上げました通り、自分はケロロ軍曹について然程知識を持ち合わせておりません。ですので申し訳ないのですが、お断りさせて頂きます。申し訳ありません。 (2018年8月24日 0時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっすん | 作成日時：2018年8月23日 10時
