第391話 バ レ て た ページ11
いつもなら率先して行動している筈のマルコは、
皆が食堂を出て行ってもまだ新聞を読んでいた。
「・・・どーかしたか？」
珍しいな、とでも言いたげに、不思議そうというよりは訝しげに。
Aは未だ食べ終えていない、少し冷めかけてきた粥を口に運びつつ、
隣に座ったままのマルコを見やった。
だが、視線を向けられた当の本人はAの問いに答えることなく、新聞から視線を逸らさない。
そんな態度にも少女は全く気を悪くすることなく。
まあそんな時もあるだろう、ぐらいの認識で軽く流した。
いや、どちらかと言うと安心したのだ。ああ、やっと休むのか、と。
マルコは長男みたいな立ち位置で、だから自分の意識がない間もきっと、
ずっと働き詰めだったのだろうということは、想像に難くなかったから。
だから、Aは安堵した。
ようやく、束の間であっても。マルコが休息を得たのだと思って。
しばしの間、紙を捲る音と、匙と食器の触れ合う音が、静まり返った食堂に響いていた。
外で作業を進める皆の声が僅かに聞こえてくる、穏やかな静寂。
それを破ったのは、長男の方だった。
中身のなくなったカップを、机に置いた。かつん、と小さく音を立てて。
それだけの動作に、なんとなく不穏なものを感じて。
少女は口に放り込んでいた最後の一口を飲み込んで、
視線だけを動かし、恐る恐る隣に座る長男を見上げた。
「・・・再生能力は、一度使い切れば早々回復するもんじゃねェ」
こちらを見もせずに放たれた声は低く、鋭い。まるで問い詰めるような、呟き。
その声音に怒りが滲んでいることを理解して、思わず背筋が凍った。
「
その能力の使い方をAに教えたのはおれで、
その能力とより長く付き合っているのも、おれだ。
再生の炎は、確かに便利だ。どれだけの大怪我を負ったとしても、まるで無傷な状態になれる。
だが一度上限まで使い切ってしまえば、再び使えるようになるまで、
少なくとも一週間。体調の良し悪しによっては二、三ヶ月かかることもある。
だから、ありえないのだ。あの傷を負って、一週間と経たずに使えるようになるなどと。
この事実を知っているのは、今ではもう自分しかいない。
皆には勿論、オヤジにすらも告げていない隠し事。
・・・まあそれでも。オヤジやサッチを含む、
付き合いの長い面々には薄々勘付かれているのだけども。
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師走(プロフ) - まつりなさん» ありがとうございます！！これからも更新頑張りますので、応援よろしくお願いします！！ (2018年8月30日 11時) (
レス) id: c0b11b67c2 (このIDを非表示/違反報告)
まつりな - 続編おめでとうございます！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年8月28日 19時) (レス) id: 1c501748bb (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» はい！毎日更新を目標に頑張ります！！ (2018年8月24日 14時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - こちらこそすいません；その代わり最新頑張ってくださいね。コメントだけどケーキでどうぞ。 (2018年8月24日 7時) (レス) id: 9b1c982b1b (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» 前にも申し上げました通り、自分はケロロ軍曹について然程知識を持ち合わせておりません。ですので申し訳ないのですが、お断りさせて頂きます。申し訳ありません。 (2018年8月24日 0時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっすん | 作成日時：2018年8月23日 10時
