第350話 最期の言葉で遺言と読む ページ30
昔を思い出したついでに、口やかましい山賊も思い出す。
「＿＿＿そうだ、お前等、いつか、ダダンに会ったら・・・よろしく言っといてくれよ・・・死ぬと分かったら・・・あんな、やつらでも、っ懐かしい・・・」
長く持たないことは自分がよく分かっている。
「心残りは・・・ひとつ、ある・・・」
この命の灯が消える前に、伝えたいことは、全て伝えなければ。
「ルフィ、A・・・お前等の、夢の果てを・・・見れねェ、ことだ・・・」
無邪気で考え無しな手間のかかる弟に、寂しがり屋で性根の優しさ故に危うい妹。
「だけどお前等なら、必ず、やれる・・・！！おれの、弟と、妹だ・・・っ」
自慢の弟達の行く末が見られないことは、本当に悔しい。
それでも絶対に大丈夫だと信じることは、祈りにも似ていた。
「昔、誓い合った通り・・・人生に・・・悔いは、ない・・・！」
「・・・っウソだ！ウソつけ！！」
「だってエース、まだ夢叶えてないじゃんか！！名声手に入れたいって、言ってたじゃん！！」
感情が追い付いていないのか、それとも現実を受け入れ難いのか。
震える声を張り上げて、この状況を大声で吹き飛ばそうとする兄妹の姿を、周囲は見ていられなかった。
「・・・おれが、本当に欲しかったのは・・・どうやら、“名声”なんかじゃなかったんだ・・・」
驚いたように目を見開く二人が見えた
「・・・おれは、“生まれてきても良かったのか”。欲しかったのは・・・その、答えだった」
視界が狭まり、黒く塗りつぶされていく。
そろそろ本格的にマズくなってきたらしいと、自嘲気味に笑う。
「ぁあ、もう、大声も、でねェ・・・頼む、おれが、言うこと・・・皆に・・・伝えて、くれ」
ひぐりと息を呑む音が聞こえる
「オヤジ・・・皆・・・！！それからルフィ、A・・・・」
腕に、力を込める
「今日までこんなどうしようもねェおれを、鬼の血を引く、このおれを・・・！！」
息を吸って、出せる限りの声を絞り出す
「＿＿＿＿愛してくれて・・・・ありがとう！！！」
ああ、言えた。これまでずっと、照れくさくって言えなかった、言葉。
「えーす、えーす・・・！あのな、うちにもいわせてくれ！うちな、エースがにいちゃんで、よかった！！ありがと、ほんとに、ありがとぉっ・・・！！」
ほとんど涙声で、それでも必死に笑おうとする妹に、微笑ましさが込み上げる。
だが、それも刹那の出来事。
笑顔を見届けたところで、視界が暗転した。
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師走(プロフ) - 林檎さん» いえこちらこそ見ていただきありがとうございます！！出来る限り毎日更新していきますので、よろしくお願いします！！ (2018年6月13日 22時) (
レス) id: c0b11b67c2 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 更新ありがとうございます！！これからも、応援してます！！ (2018年6月12日 22時) (レス) id: 1ef2c0f6cc (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます！今ちょっと前の方を手直ししてる感じですけど、もうすぐ更新できると思いますので、よろしくお願いします！ (2018年6月10日 15時) (レス) id: fa589f053a (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 過去の編集？っていうんですかねが終わってからでいいので更新の方お願いします。この作品気に入ってるので応援してます！！ (2018年6月10日 13時) (レス) id: 55fae2266d (このIDを非表示/違反報告)
マリー - 更新待ってました！すごく面白いです☆ (2017年4月3日 16時) (レス) id: c67407c6d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっすん | 作成日時：2015年12月22日 6時
