第332話 マリンフォード海軍本部 オリス広場 ページ12
目を閉じる。刀を握り直す。耳を澄ます。呼吸を整える。
「エースを救え〜〜〜っ！！」
「海軍本部を攻め落とせェ〜〜〜！！」
聞こえる。優しい優しい、皆の声が。
「・・・エース・・・ぐん、を かなら、ず・・・・」
聞こえる。大きな友達が、倒れる音が。
「“白ひげ”が広場に降りたァ〜〜〜〜！！！」
聞こえる。刃の薙いだ音、爆風の巻き起こった音が。
「野郎共ォ！！！」
聞こえる。オヤジの頼もしい声が。
「エースを救い出し！！海軍を滅ぼせェエ！！！」
聞こえる。腹にまで響く、オヤジの怒りが。
＿＿＿＿反撃の、狼煙だ。
まぶたを持ち上げる。
処刑台に待つ、
広場を駆ける、
「・・・待ってて」
すぐ、迎えに行くから。すぐ、追いつくから。
黒曜石の瞳に強い意志を煌かせ、少女は石畳の地面を蹴って乱戦の中に飛び込んだ
「邪魔、どいてッ！！」
兄貴に指を突き刺そうとした
思っていた以上に流れ込んでくるダメージに一瞬意識が遠のきかけたが、なんとか堪えて不死鳥の炎ですぐさま回復し、目の前の男に意識を向ける
「っくそ、ここで止まってらんねェんだ・・・！」
「・・・出来るんなら、戦いたくないんだけどねェ・・・」
口から零れた言葉はしかし周囲の喧騒に混ざり、誰の耳にも届かぬまま消えていく。
目の前に居るのは、幼かった筈の少女。強くなりたいと願っていた幼子。
『あのな、ボルさん。うち、にーちゃんをたすけたいの。どうすればいい？』
それが今やどうだ。背丈はうんと伸び、得物を使いこなし、こうして乱戦の中で立っている。
「オレが時間稼ぐ、兄貴はそこで休んでろッ！！」
こちらを見据える漆黒の瞳に浮かぶ、頑なな星のような輝きこそが。
今にらみ合っている少女が、あの小さな子供であると証明している
「しかたないねェ・・・それが、あっし等のやるべきことだからねェ」
うそぶいて、指先から光を放つ。少女の肩を掠めて血が噴き出した。
自分は海軍、あの子は海賊
互いにやるべきことは定まっている、それを貫き通すために今ここに居る
いくら顔見知りと言えど、幼い事から知っていると言えど。
手加減はしない、情けも容赦もかけない。
それでも、ボルサリーノは思わずにはいられない。
＿＿＿＿＿アア、出来るんなら。ずっと笑っていて欲しかったんだけどねェ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 360人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
師走(プロフ) - 林檎さん» いえこちらこそ見ていただきありがとうございます！！出来る限り毎日更新していきますので、よろしくお願いします！！ (2018年6月13日 22時) (
レス) id: c0b11b67c2 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 更新ありがとうございます！！これからも、応援してます！！ (2018年6月12日 22時) (レス) id: 1ef2c0f6cc (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます！今ちょっと前の方を手直ししてる感じですけど、もうすぐ更新できると思いますので、よろしくお願いします！ (2018年6月10日 15時) (レス) id: fa589f053a (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 過去の編集？っていうんですかねが終わってからでいいので更新の方お願いします。この作品気に入ってるので応援してます！！ (2018年6月10日 13時) (レス) id: 55fae2266d (このIDを非表示/違反報告)
マリー - 更新待ってました！すごく面白いです☆ (2017年4月3日 16時) (レス) id: c67407c6d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やっすん | 作成日時：2015年12月22日 6時
