第357話 凍てついた心 ページ7
イゾウが切羽詰まった顔で、早く行くぞと急かしているのが聞こえる。
時々前やら後ろやらを見ながら、オレの腕を掴んで軽く引っ張るのを感じる。
隣で、青い炎が燃え上がった。だがそれも一瞬で、オヤジの声に炎は掻き消えた。
オヤジの足元に黒く揺らめく何かが生み出され、ずぶずぶとオヤジの足が呑み込まれていく。
見えている、聞こえている、解っている。
黒ひげが、地震を起こそうとしたオヤジの拳を“ヤミヤミの実”の能力で止めた。
オヤジはそれに構わずに、携えていた薙刀を黒ひげの肩に食い込ませる。
なのに、どうして。
＿＿＿＿どうして、実感が沸かないの？
頭では理解しているのだ。なのに、どうしてか何も思わない。
マルコやイゾウ達みたいに、悲しめない。怒れない。泣けない。
深い深い裂け目の向こう側で、黒ひげ達はオヤジに六つの銃口を向けた。三つの刃を煌かせた。
瞬く間に鮮血が舞う。腕に、背に、足に、顔に。いくつもの風穴があき、切り傷から血が噴き出す。
まるで、どこか知らない国の出来事を映像で見ているかのように。他人事のように、目の前の光景を眺めていた。
「・・・オヤジ」
響き渡る銃声、あいつの、耳障りな笑い声。
皆のオヤジを呼ぶ声。すすり泣く音も、盛大に嗚咽を漏らす音も聞こえていた。
なのに、音が意味をなさない。なにも、感じない。波一つ立たずに、心は静かに凪いだまま。
なあオヤジ、どうしよう。オヤジが大怪我負ってこんなんになっちまってんのに、ホントのホントに、これが生きてるオヤジと会える最後の時だって分かってんのに。
オレ、何にも思わないんだよ。オヤジ、オレ、どうしたらいい？
そんな、心の中での少女の吐露。誰にも聞こえる筈はなかった。
だが、白ひげは。ゆっくりと、左半分の欠けた顔をほんの少しだけ向こう岸に向け、無事だった右目で、そこに立つAを、見た。
「＿＿＿＿＿＿＿＿」
何かを言ったわけではない。何かを伝えたかったわけでもない。
ただ、見た。義理の兄を失い、実の兄を失いかけている一人の少女を、見た。
己を呼び慕う声は遠い。己を想って泣いてくれる声も遠い。
Aを見た理由は特には無かった。だがAを目に入れた途端、何故か遠い昔の記憶が脳裏によみがえった。
＿＿＿＿＿＿それは、数十年前。海賊王、ゴールド・ロジャーと桜の下で酒を呑んだ記憶。
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師走(プロフ) - 愛さん» ありがとうございます！！感動していただけてほんっとうに嬉しいです！！自分もまだまだですので、更に研鑽を積みたいと思います。これからもどうぞよろしくお願い致します！ (2019年2月12日 18時) (
レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - 362話スゴい感動しました!マジなきしちゃいました、その文才分けてほしいです。これからも頑張ってください (2019年2月12日 18時) (レス) id: b6e30cbc23 (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - りんご飴さん» すみませんでした！！やらかしているの確認しました！！ありがとうございます、今すぐ訂正します！！ご指摘ありがとうございます！！ (2018年9月30日 8時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 361のティーチの名前エドワードじゃなくてマーシャルですよ〜 (2018年9月30日 8時) (レス) id: 0242962b37 (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» えっ、あっと、申し訳ありません・・・！！ケロロ軍曹はその、そんなに詳しくないのです・・・！！ミルルってどの子だっけ？というレベルですし、恋愛ものは一切書いたこともなく・・・！！本当に申し訳ありません、お断りさせていただきます・・・！！ (2018年8月17日 10時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっすん | 作成日時：2018年7月13日 14時
