第370話 acute pain ページ20
「あ゛、あ゛ぁ゛」
自分の意思とは関係なく、足が、腕が、痙攣する。ひぐりと喉が鳴って、息が詰まる。
いたい、いたいいたいいたいたいいいたくないたくないたくないいいたいいたいいいたいいたいいたいいたい
頭の芯がぼやけ、霧散してしまいそうな意識を、下唇に歯を食い込ませて必死にかき集める。
熱が熱に上書きされて、緩やかに融かされるような、一気に焼かれるような感覚。
ちかちかと視界が白と黒を行ったり来たりして、現実との境目が不鮮明になっていく。
誰かが何か言っているような気もするが、音が意味を持って耳に届く前に、空気中に散らばって掻き消える。
「強情な・・・！！」
「っぁ」
一際強い波が押し寄せ、勝手に体が跳ねる。あまりの熱に耐えられないと体中が悲鳴を上げる。
全身に変に力が入り、強張ってこれ以上動けない。
足で踏ん張りなどきかず、ただマグマの腕にしがみついているだけ。
とっ散らかった意識の中で、痛みだけが鮮明に存在を訴える。
体内を荒れ狂う熱を必死に抑え込む。ここで退いてはいけないと、痛みと共に脳が警鐘を鳴らしていた。
だがそんな意志とは裏腹に目の前は霞み始め、意識が薄れていく。
そんな、永遠とも思えた激痛は、唐突に終わりを迎えた。
「＿＿＿＿よく頑張ったな、A」
優しい声が降って来ると同時、腹を貫いていた暴力的な熱が消えていく。かわりに青い炎が腹の穴を覆い、穴を埋める。
マグマの腕という支えの無くなった小さな体は、立っていることも叶わずに、重力に従って後ろに倒れていく。
だがそんな少女を、赤犬の腕を斬った赤髪の男はいともたやすく受け止めてみせる。
少女の背に手を添え、横たえるようにしゃがみ込む。
突然現れた懐かしい気配に、落ちかけていた重い瞼を叱咤してなんとか持ち上げて、視線を動かす。
ぼやけた視界の中で、そこに、居たのは。
「しゃん、く、す・・・？」
「ああ、無理に喋らなくていい。・・・まったく、無茶をしたもんだ」
呆れたように小さく笑う、憧れの赤髪の海賊だった。
「酷いケガだ、すぐに＿＿＿＿」
「・・・・まだ、だ」
シャンクスの言葉を遮り、Aは緩慢な動作で身を起こした。
「まだ、おれ、が、にげる、わけに、いか、ねぇっ」
「おい・・・！？」
赤髪が制止するも一足遅く、舞姫は地に転がった刀を手に、立ち上がる。
「『トリトリ・モデル、不死鳥』＿＿＿＿＿！！」
一際大きく、海色の炎が少女の身体を包んで燃え上がった。
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師走(プロフ) - 愛さん» ありがとうございます！！感動していただけてほんっとうに嬉しいです！！自分もまだまだですので、更に研鑽を積みたいと思います。これからもどうぞよろしくお願い致します！ (2019年2月12日 18時) (
レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - 362話スゴい感動しました!マジなきしちゃいました、その文才分けてほしいです。これからも頑張ってください (2019年2月12日 18時) (レス) id: b6e30cbc23 (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - りんご飴さん» すみませんでした！！やらかしているの確認しました！！ありがとうございます、今すぐ訂正します！！ご指摘ありがとうございます！！ (2018年9月30日 8時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 361のティーチの名前エドワードじゃなくてマーシャルですよ〜 (2018年9月30日 8時) (レス) id: 0242962b37 (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» えっ、あっと、申し訳ありません・・・！！ケロロ軍曹はその、そんなに詳しくないのです・・・！！ミルルってどの子だっけ？というレベルですし、恋愛ものは一切書いたこともなく・・・！！本当に申し訳ありません、お断りさせていただきます・・・！！ (2018年8月17日 10時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっすん | 作成日時：2018年7月13日 14時
