第362話 正面に居るのはだぁれ？ ページ12
「うおあぁぁぁあ！！」
それはまるで、獣の咆哮だった。意味もない母音の叫びが戦場に響き渡る。
刀を振るごとに燃え上がる闇色の炎は、触れるもの全てを焼き尽くしていく。
「・・・A・・・？」
半開きの不死鳥の口から、あの子の名前が零れ出る。
その場に居た誰もが動けなかった。海賊も、海軍も、関係なかった。
皆Aの気迫に呑まれ、足が竦んだ。心臓をわし掴みにされたような気分だった。
「・・・・あれは、ほんとに、A・・・なの、か・・・？」
誰の言葉だっただろう。誰かの呟きであり、少しでもAを知る誰しもが心の内に浮かんだ疑問であった。
いいや、正しくは疑問などではない。それは、恐怖だった。
己の知る少女とはあまりにもかけ離れた言動に、未知のものとして目に映っていた。
対岸では闇と炎がぶつかり合い、刀の煌きと空気の振動が宙を彩る。
いつしか黒ひげからも余裕の窺える笑みは消え失せ、舞姫の殺意はより大きく濃いものに。
「テメェは、テメェだけはァッ・・・！！」
「チィッ・・・！くそ、なんなんだこの炎はよぉ！！能力じゃねぇのかァ！？」
＿＿＿炎。白ひげ海賊団に籍を置く者達にとって、それは他の者に比べて身近なものだった。
一つは蒼の炎。癒しを象徴する、いざとなった時頼れるもの。
一つは紅の炎。太陽の飛沫であり、やんちゃさの垣間見える明るいもの。
「・・・エース」
エースの生ける意思。受け継ぎ、次へ繋げなければならない。
思い出す。船長が居ないこの状況で、皆の前を走らなければいけないのは、己であることを。
呆然としていた瞳に、再び強い意志が瞬いた。
「っAが惹き付けてくれてる今が好機だよい！！お前等行くぞ！！！」
「マルコッ」
何か言いたげなビスタを一瞥し、指示を出していく。
炎、炎。めらめら、めらめら。
揺らめくどす黒い炎の中に、マルコは一瞬だけ、困ったように笑う
唐突に音もなく上から降ってきたソレは、少女を覆い隠す。
「・・・っ」
鬱陶しげに顔を顰め、視界を遮る白い布らしきなにかを取っ払おうとして。
『＿＿＿＿落ち着け』
陽の光が僅かに滲み出した薄暗い視界の中。聞き慣れた、深く低い声音が耳元で響く。
『もういい。これ以上は、よせ』
ふわりと布から香った、酒と薬の匂い。
＿＿＿オヤジの、匂い。
「ぁ、あ、ああ、あ・・・！！」
途端に膝から力が抜けて、石畳に座り込む。刀の落ちるくぐもった音がした。
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師走(プロフ) - 愛さん» ありがとうございます！！感動していただけてほんっとうに嬉しいです！！自分もまだまだですので、更に研鑽を積みたいと思います。これからもどうぞよろしくお願い致します！ (2019年2月12日 18時) (
レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - 362話スゴい感動しました!マジなきしちゃいました、その文才分けてほしいです。これからも頑張ってください (2019年2月12日 18時) (レス) id: b6e30cbc23 (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - りんご飴さん» すみませんでした！！やらかしているの確認しました！！ありがとうございます、今すぐ訂正します！！ご指摘ありがとうございます！！ (2018年9月30日 8時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 361のティーチの名前エドワードじゃなくてマーシャルですよ〜 (2018年9月30日 8時) (レス) id: 0242962b37 (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 森田菜々子さん» えっ、あっと、申し訳ありません・・・！！ケロロ軍曹はその、そんなに詳しくないのです・・・！！ミルルってどの子だっけ？というレベルですし、恋愛ものは一切書いたこともなく・・・！！本当に申し訳ありません、お断りさせていただきます・・・！！ (2018年8月17日 10時) (レス) id: 348f2a7da8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっすん | 作成日時：2018年7月13日 14時
