オレノテンシ (ページ6)

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第４話　完璧を演じなくちゃページ6

賢二郎sied

久しぶりにAとケンカ？みたいな

のをした。

いや、Aが一方的に拗ねただけか。

まぁとにかく、これはしばらくの間続く

だろうな。

「けんじろう。賢二郎っ！」

「っ！ごめん母さん。何？」

「まださっきの事、気にしてる？別に賢

　二郎が悪いわけじゃないんだよ」

母さんが「ちょっと残念だけどね」って

笑って言った。

母さんにも悪いことしちゃったな。

「……わかってるよ。じゃあ行ってきま

　す」

「行ってらっしゃい！」

家を出て白鳥沢学園高校に向かう。

確かに、最近バレーばかりで、A

といっしょに居てあげれていない気がす

るな。

しかも今日は春休み最後の日。

明日からは新学期が始まって、二人でゆ

っくりできる時間が取れないかもしれな

い。

Aがあんなに拗ねる理由もわか

る。

「やっぱ、俺が悪いな…」

俺はため息をついた。

Aはよく、俺のことを『完璧』

って言う。

でも、正直言うと全然完璧なんかじゃな

い。

面倒くさがり屋で、ちょっと人に流され

る。

隠し事だって一つや二つくらいある。

一人で泣く事だって、そう珍しくない。

でも、Aが生まれたあの日から、

Aの前だけでは完璧を演じなくち

ゃって思った。

だって俺は、Aの理想のお兄ちゃ

んだから。

「家に帰ったら、Aが好きなドラ

　マいっしょに見よ」

そう独り言を漏らしたところで、白鳥沢

学園高校についた。