赤薔薇の蕾がつく頃に (ページ7)

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「A、元気そうだね」

学食でランチをしていると、横に座る美波にふいにそう言われた。

あ～、彼氏にフラれた割にって言いたいのかな？

『うん、あのね、最近びっくりすることがあって─』

今朝のコンビニの一件まで中村さんのことを話すと、美波は「ええっ？！」と声を出した。

「いや、なにそれ超驚き！！」

『私もびっくりしてる。まさか助けてくれた人が同じ大学の同じキャンパスの先輩だったなんて』

「いいな～！ていうか、中村さんめちゃくちゃ見てみたいんですけど～！」

『キャンパス一緒なんだからそのうち会えるんじゃない？』

和風ハンバーグを食べながらふと視線を入口に向けると、目がきゅるんとした男子と一緒にいる中村さんを見つけた。タイムリーすぎる。

『美波、あの入口の近くの金髪の人！』

美波は「どれどれ」と言ったかと思うと、バッと私の方を向いて言った。

「…めちゃくちゃイケメンじゃん！」

『うん、かっこいいよね』

「いいなぁ、私もあんな人に偶然街中で助けられたかった…！」

恋する乙女の顔をする美波に、少しだけ胸がちくっとしたのはきっと気のせい。

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