赤薔薇の蕾がつく頃に (ページ6)

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「あれ、熱中症の…」

『…中村さん？！』

次の日の朝、大学の横にあるコンビニでまさかの再会。
こんなに短期間で何度も会うことある？！
と驚いているのは私だけではないみたいで。

「すごい偶然ですね」

『そ、そうですね』

「…あ、傘。今持ってないんです、すみません…」

『あ～！全然気にしないでください！煮るなり焼くなり好きにしてください、ほんとに！』

中村さんはクスッと笑う。

『…もしかして、大学、そこですか？』

「そうです。大学、そこですか？」

『あ、はいそこの2年です』

「じゃあ俺3年だから先輩ですね！」

まさかの、中村さんは大学が同じだった。
…待てよ、私は先輩に敬語を使わせていたのか

『今まで敬語使わせてしまっててごめんなさい！タメ口で大丈夫です！タメ口でお願いします！』

「あはは、じゃ遠慮なくタメでいくけど名前聞いていい？」

『作間 A です』

「じゃあAちゃん、連絡先教えてもらってもいいかな？」

連絡先……連絡先？！

思わず『えっ』と声を漏らすと、中村さんは慌てて「あっ、ナンパ目的とかそういうんじゃなくて！」と続ける。

「傘返すのに、同じ大学でもいつ会えるか分からないし連絡先聞いておいた方がいいかな、って…嫌なら全然大丈夫だから、先輩だからとか気にしないで…！」

『嫌じゃないので！是非！』

『是非』はちょっと食いつきすぎたかな、と言い直そうとすると中村さんは「よかった」と人懐っこそうな顔で笑った。

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