赤薔薇の蕾がつく頃に (ページ37)

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少し歩いてベンチのあるところに座った。

『…あの、すみませんでした…中村さんの元彼女さんだったのに、結構強く言ってしまって…。でも、あんな酷いこと言うの聞いてたら、いてもたってもいられなくて…』

「Aちゃん、ありがとう」

『え？』

「俺のために言ってくれたんでしょ？すげえ嬉しかった」

中村さんからそう言われ、こそばゆい気持ちになる。

『本当のことを言ったまでです…』と呟くと中村さんは「あっ、そうだ」と意地悪そうな顔をした。

「ねえ、俺と居るとドキドキするって、ほんと？」

『あ、あれは！！言葉の綾と言いますか…』

「そっか、言葉の綾か…」

『だってドキドキしてるなんて今中村さんの前で認めるの恥ずかしいじゃないですか！………あっ』

中村さんがにやっと笑ったのがわかり、なんとか弁解しようと『いや、あの』と口をパクパクさせる。

『…中村さんだって、私のこと本気だとか言ってたじゃないですか！嘘ってわかっててもああいうのがドキドキしちゃうんです！ほんとに、よくないですよ…』

「嘘か…まあ、Aちゃんがドキドキしてくれてるって分かったし今日はこの辺にしといてあげる」

思わせぶりなことばっかり言ってくる中村さんに、私はすぐにときめいてしまう。

でも、中村さんが元彼女と会って酷いことを言われたことにすごい落ち込んでる感じもなかったので安心した。

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