赤薔薇の蕾がつく頃に (ページ4)

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弟の龍斗は昔から成績優秀で運動もできて、特に取り柄がない私はいつも周りに比べられていた。気付けば私は龍斗に対して劣等感を感じている卑屈な女になっていた。

そんな中で自分のことを好きになってくれた人達にも「本当は自分のことなんか好きじゃないのではないか…」とどこか懐疑的になってしまい、終いには「Aちゃんといるとつまらない」「Aちゃんが何考えてるか分からない」と言われてフラれるのがオチ。

今回も約束をすっぽかしたことに対して怒られた挙句、もう何回目か分からない同じセリフを聞いた。

ファミレスからの帰り道、方向が同じ、というかマンションの部屋が隣な飛貴の横を歩く。

私はいつかちゃんと好きな人と向き合える日が来るのかな…

「…どこかにAのことをわかってくれる人がいるよ」

『…え、私声に出てた？』

「うん、思いっきり」

心の声がダダ漏れとはこのことか…
と謎に納得。そういえば飛貴ってこんなにかっこいいのに彼女がいたことないんだよな。告白はされてるみたいなんだけど、全部断ってるらしい。

…飛貴にも、何か私に言えないことがあるのかもしれない

『…飛貴も、いい人が見つかるよ！』

「……だといいな」

ニカッと笑う飛貴は、どこか少し悲しげに見えた。

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