赤薔薇の蕾がつく頃に (ページ29)

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「なにがあったの、中村さんと」

『それが、特に思い当たることがなくて…』

「う～ん、とりあえずイチから話してみてよ」

と言われ、鍵を忘れて中村さんの家にお邪魔したこと、それで飛貴に持ってきてもらった時に飛貴が中村さんに嫌味っぽい態度をとったこと、その後飛貴と一緒に謝ったことを洗いざらい話した。

「それでその日の帰り際にはもう既にちょっと冷たかったわけか～」

『うん…。やっぱり中村さん、私が迷惑かけたことまだ怒ってるのかな…』

「それはないから安心しな」

『じゃあどうして…』

「Aさ、その日中村さんの前で浮所とどんな話をしたの？」

『飛貴と？えーっと……お好み焼き上手く取れなかったからやってって言ったり……ジュースちょうだいって言われてあげたら大分飲まれたから怒ったり……あとは…』

私が必死に記憶を呼び起こしていると美波は「ストップ、もう十分」と止めた。

「…もしAに気になっている人がいて、その人が幼なじみの女と仲良さそうにイチャついてたらどう思う？」

『…ショック受けちゃう、その女の人に嫉妬しちゃう』

「でしょ？つまりね、私が思うに、中村さんは浮所とAが仲良しなのを見て、浮所に嫉妬したんだよ！」

『ちょっと待って、私飛貴とイチャついてない！』

「ハタから見たらイチャついてんのよあんたら2人は…って、論点そこじゃない」

……中村さんが、飛貴に嫉妬…？

ないない！だって中村さんが飛貴に嫉妬する理由なんてないし…！

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