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声のする方を見ると笑顔でこちらに走ってきた中村さん。
「急にどっか行っちゃうからめっちゃ心配したんだけど!……って、誰ですか。俺の彼女になんか用ですか」
「え…お姉さんの彼氏?」
『えっと…』
「……まさかナンパとか?俺の彼女に?」
急な恋人っていう設定にも低い声で話す中村さんにも驚いてしまう。
ちらりと中村さんの顔を見ると見たこともないような怖い顔をしていて、助けてもらってる私の方も震えてしまいそう。
「すいませんっした!もう俺らどっか行きますんで!」
「すみませんでした!二度としません!」
中村さんはそそくさと逃げていくナンパ男たちを睨みつけた。
『あの、ありがとうございま_』
「馬鹿なの?!」
『えっ』
「スマホ出そうとしてたよね!」
『使わないアカウントで交換して少ししたらブロックすればいいかなって…』
中村さんが呆れたようにため息をついたので身がすくんでしまう。
「その少しの間に何かあったらどうするの?」
『…それは…連絡とか来ても無視すればいいかなって…』
「Aちゃん連絡無視できる性格?色々考えちゃって結局返信しちゃうんじゃないの?」
『……それで助けに来てくれたんですか?』
「そうだよ?…Aちゃん、もうちょっと危機感持ってよ…」
『…すみません』
「…歌ってるのも、ドレス着てるのも、全部かわいすぎ」
『えっ?!』
「…だから、もっと危機感もつこと!いい?」
『は、はい!』
今、かわいいって言われた…?
ドレス着てるの、かわいいって言われた?!
やばい、すごい嬉しい
口元がにやけそうになるのを必死にこらえる。
「Aさんごめんお待たせ………嶺亜くん」
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作者名:なるせ。 | 作成日時:2022年7月30日 18時