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学園祭準備は着々と進み、前日の準備を終え矢花くんや美波と「ウチのとこ意外といいじゃん」なんて話しながら帰った。
『…あれ』
お風呂に入り終えてなんとなくスマホを見ると中村さんからメッセージが入っていることに気付く。
"電話したいんだけど今大丈夫？"
やば、家帰ってからスマホ全然見てなかった…
40分くらい前に来てる…
急いで "すみません、今気付きました" と送った。
中村さんとはたまに電話をすることはあったけど最近はお互い学祭準備で忙しかったので電話したいと言われるのは久しぶりかもしれない。
数分後に"全然大丈夫！できそうな時連絡して" ときたので"今できます！" と返信すると、数秒後に着信画面に切り替わった。
「もしもしAちゃん？」
『はい、お久しぶりです』
「うん久しぶり。いよいよ明日だね、学祭」
『そうですね〜、なんかまだ始まってもいないのにめちゃくちゃ疲れてます』
「マジ？Aちゃん確か装飾だよね、そりゃ疲れるな〜」
なんて他愛もない話をしているけれど私の心臓はバクバク。
何度電話しても耳元で先輩の声が聞こえるのが慣れない。
「…あのさ、明日なんだけど…」
『あっ、中村さんライブやるんですよね！見に行きますね』
「え、俺言ったっけ？」
『いや、矢花くんに誘われたので…』
「矢花？知り合いなの？」
『ゼミ一緒で』
「そうなんだ………あ〜、先越された〜！」
『え？』と私が困惑していると中村さんは「俺が最初に誘いたかったの」とちょっと拗ねたように言った。
「…じゃあ改めて言うけど、ライブ見に来てほしい」
『はい、行きます！』
「…俺のこと、見ててほしい」
『…っ、はい』
「…うん、じゃあ、明日早いだろうし、また」
『電話できて良かったです、ではまた…』
電話が切られると同時に息を吐いた。
「俺のこと見ててほしい」って、何？！
そんなこと言われたら勘違いしちゃうよ……
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作者名：なるせ。 | 作成日時：2022年7月30日 18時
