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色とりどりに飾られ、秋を彩る紅葉に負けないくらい鮮やかに姿を変えた広場は、この村で1番美しく、そして妖しく、活気に溢れていた。
｢よおA！会いたかった〜！元気してた？｣
｢会いたかったよ電気くん。ハッピーハロウィン！｣
元気いっぱいなデビルの電気くんが肩を抱いてぐっと距離を近づけてきた。
パーソナルスペースがとても狭くチャラついているが、心の隙間に入り込むのがとても上手く親しみやすいためか憎めないし嫌な気分にはならない、不思議な奴だ。
｢ソンチョーさん、ハッピーハロウィン！｣と彼の口から出てきた軽い挨拶は、村長相手の言葉とは思えない。だがそんなことをオールマイトさんは気にすることもなく、優しい笑顔でハッピーハロウィンと返した。
｢いや〜やっぱ可愛いなぁ〜！もうずっと人の姿でいて欲しいんだけど！｣
｢さすがにそれは疲れちゃうなぁ……｣
｢もったいねぇー、この耳とかマジで可愛いのに｣
先の尖ったデビル特有の尻尾を揺らめかせながら俺の正面に来た電気くんは、両手で猫耳を優しくこするように撫でる。
愛撫にも似たその触り方に、思わず吐息に熱を含めてしまった。
｢ん？もしかしてちょっとキちゃった？｣
｢や、そんなことは……｣
｢ほんとかぁ〜？カワイイ尻尾がやらしく揺れてるけど？｣
鼻先がくっつく程顔を近づけ、悪戯っぽい笑みを浮かべる電気くん。増していく色気に鼓動が早まってしまう。
どう答えたらいいかわからなくなってきて、続ける言葉を探していると背後から咳払いが聞こえた。
｢あー、上鳴少年？ちょっと近すぎないかな｣
｢わっ……と、はは、スンマセーン｣
オールマイトの控えめな呼び掛けにハッと我に返ったような電気くんは笑って誤魔化していたが、あれは完全にオールマイトさんの存在忘れてたな。あの顔は絶対そうだ。｢やべー、ソンチョーさんいんのすっかり忘れてた〜｣とか思っているに違いない。
｢まぁ、また人の姿になったら遊びに来いよな！もちろん猫の姿でも俺は大歓迎だけど！｣
そう言って颯爽と他の人のところへ行ってしまった電気くんに、オールマイトさんは本日2度目のやれやれを呟いた。
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作者名：成瀬 | 作成日時：2019年11月1日 0時
