【MHA】片割れたオレンジ (ページ1)

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幼少時代の記憶は今もちゃんと残っている。

まだ個性も出ていない頃、焦凍の顔がまだ火傷を負っていない頃。

とてとて、可愛いあんよで双子の弟が一生懸命あとをついてくる姿は、きっと大人になっても忘れられない。

綺麗な色した目をぱっちり開いて、ただただ俺の姿だけを見て後ろを追いかける。

俺も同じような顔をしてるけど、俺の双子の弟はとってもかわいい。

顔は似ていても髪色が違うし、個性もちょっと違う。でも俺たちはれっきとした双子だ。

唯一決定的な違いと言えば、性格だ。
俺は結構やんちゃな反面、焦凍は大人しい。

だからか、焦凍は昔からいつも俺にくっついていた。

何処へ行くにも、何をするにも一緒。

ご飯はもちろん、お風呂や寝る時の布団の中だって一緒だ。

もちろんお父さんの"特訓"も一緒だったけど、お父さんは焦凍の個性の方が好きだったから、俺の特訓は次いでだったんだと思う。

焦凍が苦しがってるのを見ていて俺も苦しくなった。止めさせたかったけれど俺の力ではそれは敵わない。

だからせめて、焦凍が苦しんでいる同じ空間にいたかった。

そんなことしたって焦凍の苦しみも痛みも軽くなる訳では無いけれど……

それでも焦凍の1番近くにいたかった。そして焦凍もそれを望んでいた。

俺も焦凍も、お互いが近くにいることがいちばん落ち着くし安心する。何よりそれがもう日常になっているから、何も疑問は持たないし変える気もない。

姉さんには双子にしては仲良し過ぎないかと言われたが、これが俺たちの普通だと言えば諦めたような返事が返ってきた。