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07.毒のポーション、あなたに捧げる ページ7
差し出された手を震えながらも小さく握れば、彼は微笑んだ。
翔「…来な？課長彼氏なんて忘れるくらい、俺でいっぱいにしてやる」
…、きっと私は彼に恋をした。
裏を見れば、酷いって思うけど心の底の底は、優しい心を持っている。
弱っているところに救いの手が差し出されればすぐに、恋に落ちる。
・
「殺風景」
翔「男の一人暮らしは大抵、こういうものですー」
彼の部屋に上がらせてもらった。
どんな部屋かな、オシャレかな。
と意外とウキウキしていた。
爽やか男子を演じるくらいだものね。
そんな期待を抱いて入った部屋は
「テレビ、机と椅子。…ノートパソコン。ちょっとした棚、物置代りのソファ」
一つ一つの家具を指差しで数えてく。
翔「ホンット、うるせー女。泊まらせてあげてんだから文句言うんじゃねーし。」
“はいはい、すいませんねー”なんてテキトーすぎる返事をしてキッチンに向かう。
…あれ、意外と揃ってる。
包丁もあるし、まな板もフライパンもある。
「ん？料理、するの？」
翔「しねーよ。これから同居するとなったら相手うるさいだろ。」
「ほへー」
殺風景のクセにこういうのはしっかりしてんのか、意外だな。
「オムライスでいい？」
翔「マジ？俺すっげえ好き。
「よかった」
オムライスにしてよかったと、心から思った。
レジ袋から材料を取り出して。
ご飯は、よかった炊いてある。
そうして慣れた手つきで着々とオムライスを作った。
・
翔「うまかった。」
「はや…いな」
リスみたいに口いっぱいに頬張って、しかもまだちゃんと飲み込めてもないのに次の手は止まらず、また頬張る。
性格とのギャップにただ驚いて、私は次の一口が進まなかった。
確か和くんは、少食で。
こんな風にガツガツ食べる人じゃなかったな。…なんて。
・
「ご馳走様でした。」
翔「本当、マジ美味かった。ありがとう」
「いいえ」
こんなに褒められることなんて、ほぼ無いから口元が思わずにやけてしまった。
食器を流し場に運び終えた頃。
翔「加藤さん？」
「…はい？」
翔「…ポーション欲しくなったでしょ？どうせなら毒も施してやろうか」
08.中毒性があって、離れられない→←06.どうしたの？オレに着いて来なよ。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2016年11月10日 22時
