06.どうしたの？オレに着いて来なよ。 ページ6
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スーパーの前だから少し明るいこの場所。
さっきと比べて人通りも少なくなってしまったこの場所は、静寂に包まれていた。
私は少し重たいレジ袋を手にぶら下げて、目が眩む明るいスーパーを見尽くしてた。
『涙流しても』
和くんに逢えるワケじゃなくって。
涙も乾き始めた頃だった。
明らか私の後ろから、カツカツと革靴で歩いてくる音がした。
そんなのよく聞く音
そう思うかもしれないけど、人通りが少なくなったこの場所では珍しい音。
その音はちょっとずつ私に近づいて来て、パタリ…と音を止めた。
このまま、恐怖に怯えてる訳にもいかず、勢いよく後ろを振り返ったら
翔「…加藤さんじゃない。」
「へっ？」
目の前には好青年もどき男。
外でみると、また雰囲気の違うイケメン。
顔はいいのに、勿体無い。
「…。」
翔「課長彼氏が他の女の子とキスしてるとこ、見ちゃってたり」
「は！？…あ」
翔「もう遅い、俺も見てたしね」
「はぁ、そうです。女遊びの激しい人でした。」
“ふーん”と他人事のように、って本当に他人事だけど。
テキトーに返事する目の前の彼は何かを考えてる。
翔「アンタ、俺ん家来る？」
「は、い？」
翔「女を家に泊めるなんて滅多にない。…ありがたく思えや」
『野宿でもすればー？ホームレスホームレス。』
なんて返事が返ってくるかと思ってたのに…、なんかこう、変に勘違いしちゃうってか…。
「いやいや、でもさ」
翔「どーせ彼氏の家泊まってて実家位しか買える場所ありませんってパターンだろ？よくあることだわな。」
「…だから悪いですって。」
翔「うるせー女。黙って俺についてくりゃいいのに。」
・
心に傷がついたら、綺麗になんて。
真っ新には戻らない。
でも、傷を癒すことはできる。
彼のおかげで、少しは癒された気がした。
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07.毒のポーション、あなたに捧げる→←05.どこか…知らないフリをして。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2016年11月10日 22時
