ポーションの毒と甘い恋【S.S】 (ページ3)

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03.好青年なんかじゃなかった！ページ3

…恐る恐る顔を上げて見てみると、

「えっ…」

翔「どうも。」

礼儀正しいと私が決めつけたエリート社員。

私がこうやって、頭を悩ませてる原因でもある。

「…なんで。」

いやっそーな顔を見せつければ、そいつは苦笑いを含めながらこう返した。

翔「ハハ、俺も結構モテるもんで。逃げた先にアンタがいた。」

翔『加藤さんと呼ばせてもらいますね？』

「櫻井…」

翔「『翔くん』な。…アンタもどうせ惚れるんだから。」

“な？”と言って得意気な笑みを浮かべる、目の前の彼は間違いなく朝の好青年。

爽やかイケメン男子と思わせて、裏は恐ろしいほどに悪魔、いや魔王。

「ずいぶん、自信がお有りのようで」

翔「勿論。あなたは気付かぬ内に俺に恋すんだから。」

「しません、私には彼氏がいるので。」

ズバッと言い放った。

一礼して重い非常階段のドアを開けようとしたら、一つ思い出した。

スッと振り返って、スマホを返して。と言ったら、彼は嘲笑うかでもしたかのように私を見下した。

翔「アンタ、ポーションいる？」

自信満々な彼が言い放ったのは、ゲームの世界のアイテム。

思わず私は間抜けな声を出してしまった。

「ポーションって回復アイテムでしょ？私ダメージ受けてないので。いらないでーす。」

「ポーション」。よく和くんのやるゲームを傍で見てた。

『体力が減ったら使うもの』

私の中では、ポーションの知識はそれくらいしかなかったようだ。

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ズバリと彼に言い放って華麗に(？)スマホを奪い返した。

重たいはずのドアを軽快に難なく開けて、走り出す。

あの時、あの人がニヤリと笑ったことなんて、気づきもせずに。

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