一番のいち ページ15
あれ、これ聞こえてるかな…？
男の子がなかなか返事をしてくれなくて、もしかして聞こえてないかもしれないからともう１度声をかけようとした時だった。
「あ、お」
「え？」
「青、や、ぎ、はじめ…」
「あおやぎくん？」
「はじめは、一番の、一だ」
青八木くんは、とっても物静かだけど、話しかけたら嫌な顔せずにゆっくりでも答えてくれるし、よく見ると微かに微笑んでいることもある。不思議な子だけど、仲良くなれそうだ。
…章ちゃんとは、真逆のタイプだな。少し、胸がチクリと痛んだ。
何日か経って、青八木くんを一緒にお昼を食べようと誘ってみた。青八木くんと仲良くなりたかったのもあるし、今まで章ちゃんが一緒に過ごしてくれていたお昼を1人で過ごすのは少し心細かったのも事実だ。
「俺は、学食」
「私お弁当あるけど、持ってくから学食で一緒に食べよう！」
コクリ。これは、良いってことだよね。
青八木くんのご飯が出てくるのを待ってから2人で席に着こうとすると、同じタイミングで隣に腰掛けてきた男の子がいた。
「青八木、何？お前彼女持ち？意外だわ」
「違う…Aさんは、隣の席で…」
「へ〜、Aさんって言うの？よろしくな、俺、手嶋純太」
饒舌だけど、これまた章ちゃんとはちょっと違うタイプだ。なんかちょっと、チャラそう。てか、青八木くん私の名前覚えてくれてたんだ。呼ばれたことなかったから、なんだか嬉しい。
「Aさん、手嶋は…んと、そういう感じじゃない」
「そうなの…？」
手嶋くんに対する不安が顔に出てしまっていたのか、青八木くんがフォローを入れる。だって、青八木くんがこんな感じの人と仲良いなんて思わなかった…！
「もしかして俺、ナンパ野郎かなんかだと思われてる…？」
「ご、ごめん！そう言うんじゃないの！AAです。手嶋くん、よろしくね」
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作者名：ゆた | 作成日時：2020年7月24日 8時
