天使の元に熊さんとへりくつ組が押しかけました (ページ10)

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本多と成瀬の場合1 ページ10

成「ふー……」

一通り書類を整理し終え、詰めていた息を逃がす。

これとこれは明日の面会資料で、これとあそこのやつは……

ーーｺﾝｺﾝ

最終的な整頓をしていると、軽いノック。

成「どうぞ」

本「失礼します」

両手にコーヒーカップを持った本多さんが入って来ました。

本「よかったら……」

成「ありがとうございます」

カップを顔に近づけると、香ばしいコーヒーの香り。

なんかこう、ふとした優しさっていうのでしょうか？じーんときますね……。

本「……成瀬さん」

成「はい」

どうしたんでしょうね。少々本多さんの顔が険しく見えるのは気のせいなのでしょうか。

……にしても何も言い出しませんね……。
なんだか段々気まずくなってきました……。
これは僕の方から何か言い出した方がいいのでしょうか？

いや、でも本多さんが話し出すのを待っていた方がいいのでしょうか？普通の人だったら用もなく名前呼ばないでしょうし……。

※ここから成瀬さんのブラボーな想像(妄想)をお楽しみください。

も、もしかして本多さん普通の人ではない…？
むしろ実は人間ではなかったとか…
確かに全くと言っていいほど喋りませんし(実際は普通に喋ります)、ご飯食べてるの見たことないし(お昼前本多さんのとこに行ってないだけ)、お手洗いで見かけたことないし(かぶらないだけ)……。

本「……無理は禁物ですよ」

成「…………はぇ？」←中の人若干出た。

しまった。

ひどく反応が遅れました。

ほら、本多さんの表情が微妙に引きつってます。←笑いを堪えてるだけ

どうやら気分を害してしまったよう…。

ここはすぐさまお礼を言うべきでしょうね。

成「無理などしてませんよ。お気遣いありがとうございます(ﾆｺｯ」

本「成瀬さん！」

本多さん……先ほどより確実に表情が厳しいです。
でも、今度は憂いの色が見て取れます。
何故そんなに激昂なさってるのでしょうか……？

イマイチ理解出来ません。

成「どうしたんですか？」

本「……。…あなたは自分を酷使しすぎです。今さっきだって、何時間机に向かっていたのかわかってますか？私が声をかけなければまた次の仕事に移っていたでしょう。……そんな調子を、あなたはほぼ毎日続け……。いつか、体を壊してしまいますよ。……もっと、ご自身を大切にしてください」

成「……」

彼の双眼には強い光が浮かび、僕を写していた。