意地悪は許されない ページ11
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「好きだ。」
『…えっ。』
__あっ。
口を押さえたときにはもう遅く、周りがどたばた…ぎゃんぎゃんと騒がしくなり、穴があったら入りたい気分だ。
善逸と言っただろうか。彼に至ってはほぼ泣いている。猪頭少年がどんぐりを詰め込んで黙らせたが。
結局、そのあと明らかに怒っている胡蝶が来てその場は収まった。
診察をするため全員出ていくようにと告げられて、渋々といった様子でそれぞれがお大事になどの挨拶をして帰っていく。
俺もAに何か一言 言って帰ろうと思い彼女の方を向き目を合わせると、先ほどのことがあったからか、Aは少し色づいた顔を俯かた。
宇髄が昔、Aはいじめがいがあると言っていたのを思い出す。
あのときは親父くさいぞ宇髄!と言って思いっきりゲンコツをくらったが、確かにこうもいじらしい反応をされると、意地悪をしたくなってしまう。
「A、そういえば、今まではちゃんと好きだと伝えられていなかったな。」
『う、いや、もう、充分すぎるくらい伝わってますよ……』
「…ふっ、ははっ。ああ…いや、そうか。」
____じゃあ、足りなかったのは俺の方だ。
そう言って、Aに触れようとすると、胡蝶にポイ、と部屋から出された。
「ふふふ。全く、皆さん人の言うことをまっったく聞きませんね。あれほど動くなと言ったのに」
「胡蝶、すまなかっ…た」
ばたん。言葉を言い切る前に扉は閉ざされた。それから暫く薬の苦さが倍になっていて、どうしたものかと悩んだのはまた別の話だ。
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作者名:なる | 作成日時:2023年5月19日 18時