ドS上司 【黄】

▽33 ページ33

中「付き合ってくれてありがとう」

「いえ、」

中「なんか元気ないなあ」






そう言って車を発進させる。

ごめんなさい、と思いつつも

なんだかやるせない気持ちになってしまって

車の中での会話が弾まない。







中「ちょっと待ってて」








途中でコンビニに止まって降りていった部長。

ドリンクでも買うのかな

なんて思いながら沈みかけた夕日を見る。






ガタンと音がして

帰ってきたと思ったら







ピト







「ひゃっ、」

中「あげる」

「え、」

中「これ、好きやろ？」







ほっぺにキンキンに冷えた

私の大好きなミックスジュースを当てて

そう、得意げに微笑む。







「なんで知ってるんですか…？」

中「え？いつも飲んでるやん」







たしかに、よく自販機で買って飲んでるけど

…そんなの、見てたんだ







そう思うとなんだか嬉しくなって








「ありがとうございます、」







少し、頬が緩む。







中「ほんまそれ飲んでる時幸せそうな顔するよな」

「本当ですか？」

中「うん、いつも見てるもん」






いつも見てる

そう言われてかあっと顔が熱くなって







恥ずかしい、って思いと

なんだかうれしいって思いが混じり合って

私にもよく、わからない。







中「え？なに、めっちゃ顔赤いで？」

「っそんなことないです」

中「…もしかして、照れてるん？」







顔を覗き込まれて更に顔が火照る。

本当にやめてほしい

恥ずかしすぎる







「夕日の、せいです…、」

中「あっそ、(笑)」






自分でも何言ってるんだ

思うけど返す言葉が見つからなくて

なんかくさいセリフみたいなことを言ってしまって。






そんなのおかまいなしに車を発進させた中間部長の方をおそるおそる見ると

なんだかちょっと嬉しそうで、

鼻唄でも歌い出しそうなくらい、上機嫌で







夕日に照らされた横顔が

思わず見惚れてしまうくらいに綺麗だった。



.

▽34→←▽32

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す