兄弟の進む道 (ページ49)

今日:20 hit、昨日:0 hit、合計:110,332 hit

変化ページ49

俺たちの周りには俺たちに優しく接してくれる人達が増えてきた。こんなにたくさんの優しさに触れられる日がくるなんて考えたことがなかった。

最初に足を踏み入れたときとは違い汚れが目立たなくなっている。
縁側には最近、手入れした五虎退と厚が座っている。手に持っているのは燭台切が作っていた饅頭だろう。

俺が歩いてきたのに気が付いたのかパッと顔を明るくした。

「大将！」「あるじさま！」

置いてある饅頭を一つ分けてくれる。俺も厚の隣りに座って饅頭を口にした。

饅頭が食べ終わるころに燭台切がこちらに歩いてきた。

「A君、政府から連絡がきたよ。」

政府....？

「君達が審神者をやれているか確認に来るそうだ。」

「分かった。なあ燭台切、狐....こんのすけを知らないか？」

最初に俺たちを連れてきてからしばらくして姿を見せなくなった管狐。いないだけなら別にかまわないが。

「うーん、たしかに見てないね。政府の役人が来る時に聞いてみたらどうかな？その時に学校に通えるかどうかも聞いておこうか。」

俺は燭台切の言葉に頷いた。

政府の役人。正直あまり良い印象は持っていないけどどんな人が来るんだろうか。俺たちは審神者として認められるのだろうか。

ここは、なんだかんだで居心地がいい。悠のこともみんなが大切にしてくれている。

出ていくのは嫌だと思える程度に、俺はこの場所が気に入っているのだろう。最初は部屋が借りられればいいと言っていたのに随分と変わったものだ。俺は苦笑した。

「どうした？」

厚が顔を覗き込んでくる。

「なんでもない。」

俺は審神者として認められるように少しでも本丸を綺麗にしておこうと心に決めた。