兄弟の進む道 (ページ31)

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弾ける笑顔ページ31

苦しい、苦しい....必死で空気を求めるがだめだ。

ふと、温かい手が背中に置かれた。

「A君、大丈夫だよ。さっ僕の真似をして？スー..ハー...スー..ハー...」

燭台切の声に促されながら、ゆっくりと息を吸った。

「ごめんね、A君。驚かせちゃったかな？」

「問題ない。俺が悪かった。」

悠が涙目で心配そうにこちらを見ている。心配をかけてしまった。俺は悠のお兄ちゃんなんだからしっかりしないと。

もっと、もっと強くならないと。悠を守ることもできない。

「おっ？これがAが作った握り飯か？美味そうだな！」

太鼓鐘は場の空気を一転させ弾けるような笑顔を見せた。

「あー美味しかったっ!」

乱の声でたくさん作っておいたおにぎりがほとんどなくなっていることに気が付いた。

「お兄ちゃん、ありがと！」

口の端に米粒をつけながら言ってくる悠を見ると頬が緩んだ。横から燭台切が米粒を取っている。

「A、一ついち兄に持って行ってもいいか？」
「ああ」

もとからそのつもりだった。構わない。

「じゃあ僕らも鶴さんと伽羅ちゃんに持っていこうかな」
「そうしようぜ！」

「鶴さん...伽羅ちゃん？」

聞いたことのない名前。ここにはいったいどれだけの人がいるのだろうか。

「鶴さんと伽羅ちゃんは僕らと同じ伊達の刀なんだ。二振とも部屋から出てこないんだけどね....」

そういって燭台切は悲しげな表情を見せた。とても大切な人達なんだろう。

「まだ残っているから構わない」

それ以上聞くのはやめて持っていくように伝える。

「ありがとう。A君。」