兄弟の進む道 (ページ21)

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源氏の兄弟ページ21

「で、何があった」

「お父さんに似てたんだ」

恥ずかしいしあまり話したくはないけれど迷惑をかけた上に理由を言わないのはないだろう。

「俺はここに新しく来た審神者ってやつで、弟の悠と一緒にやってる。」
「審神者....!?」
「弟、今は聞こう？」
「あっあぁ」

あぁ、彼らも審神者になにかをされたのか。

「今剣さんに、岩融さんの手入れを頼まれてさっき部屋に行ったんだ。」
「君のお父上は随分、力強い人だったんだねぇ」

俺は首を横に振る。そっちじゃない。

「岩融さんを見ていた石切丸という男に似てた。」

お父さんに似ていたというだけで逃げ出してしまった俺はとても弱いのだろう。

「ホームシックというやつか？」
「分かんない。お父さんもお母さんももう死んじゃったから。」
「すまない。」

何故謝るんだ。この人のせいでいなくなってしまったわけではないのに。俺が鬼だから、あの人たちは。

「ねぇ君、名前は？」
「俺はA」
「A、ね。分かった覚えておくよ」
「兄者が名前を覚える!?」

「僕は源氏の重宝、髭切さ。」
「俺は源氏の重宝、膝丸だ。」

「ねぇAはどこから来たのかい？」
「弟君も心配しているだろう。戻ったほうがいいのではないか？」

俺は首を横に振った。見せられるか、こんな姿。悠が笑っているのに俺がこんな風に泣くなんてみっともない。

「んーあっじゃあ僕たちと散歩にでも行こうか。まだ来たばかりなら知らない場所も多いんじゃないかな？」

髭切さんは笑いながら提案してきた。悠にも会わない、ここの事も知れるまさに一石二鳥というやつだ。俯きながら頷くと髭切さんに目を拭われた。