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りん、とベルが鳴る。



「こんにちはーっと?……あ」

「久しぶりだね。Aくん」

「お……おひっ……!お久しぶりです!ボス!!」



珍しい来客に、咄嗟に出た声が上擦った。顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。



「はは、元気そうでなによりだよ」

「はい、お陰様で。えっと……何かご用事がおありですか?」

「相変わらず鋭いね」

「ええ、それが憎くもあります」



ごめんなさい、と口が動く。これはなんとなく口癖みたいなものになっているから直せない。



「率直に言うと、君を勧誘しに来たんだ。こちらに戻る気はないかね」

「……すみません。お断りさせていただきます」

「そうか。なら仕方ない。また日を改めて来るとしよう」

「いいお返事はできませんが、来ていただければ美味しいケーキを作ってますので……お待ちしております。」



ニコリと笑うと、森さんも笑い返してくれる。貼り付けたような笑みなのは、推理せずとも容易に分かるけれど見て見ぬふりをする。



「あ、それと……今試作中のケーキがあるので是非、エリスお嬢様に」

「おや、それはありがたい。エリスちゃんも喜ぶよ」



森さんの表情が心無しか明るくなった気がする。



エリスお嬢様の事に関しては、無邪気な子供みたいに話をするんだから、可笑しいし微笑ましい。



「ではまた」

「はい。わざわざありがとうございました」



姿が見えなくなるまで、深くお辞儀をする。



なんだかどっと疲れが回ってきた。……やっぱりあの人は苦手だ。



恩人でもあるけれど、それ以上に恐ろしい。私なんかでは到底、力量が図れない。



太宰さんも私は十分怖かったけれど、あの人は異常だ。怖い。



「ふぅぅぅ……ぁぁぁ」

「……どうか、なされたのですか」



カウンターに影が落ちる。見上げると、涼しい顔をした芥川くんがいた。



「何でもないよ。ごめんね、今ご飯用意するね」



表情が乏しい彼は、大体いつも何を考えているのか分からない。



だからこの時の私は、さっきの森さんとの話を聞かれているなんて夢にも思っていなかったんだ。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 芥川龍之介 , 文スト   
作品ジャンル:恋愛
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さくら餅(プロフ) - 紅玉さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!無事完結させることができて心底ほっとしております。私は貴方様のコメントにギュンギュンしました!笑本当にありがとうございました!! (2021年2月7日 15時) (レス) id: 0223a8e0a3 (このIDを非表示/違反報告)
紅玉 - 完結おめでとうございます!!!!尊いのと可愛いので私はギュンギュンしまくってました!!!!(ギュンギュンとはキュンキュンの進化系です!!!!) (2021年2月7日 12時) (レス) id: 835185f078 (このIDを非表示/違反報告)
(=^・^=) - 人虎に会いたい…。  by芥川 (2020年12月1日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
(=^・^=) - 厳しいわ。 (2020年12月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ☆天香☆さん» ありがとうございます!!すっごく嬉しいです!文ストはキャラクターひとりひとりが個性的で大好きなので、つい絡ませちゃいます笑コメントありがとうございました!! (2020年3月12日 21時) (レス) id: 0223a8e0a3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら餅 | 作成日時:2019年10月4日 16時

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