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｢……人虎と僕を比べないで頂きたい｣
不満げな声色で、けれどそれ以上は踏み込むことはせずに紅茶に口付けた芥川くんに、太宰はあれ、と首を傾げる。
確かに、以前の彼ならば食ってかかるように反論していただろう。
何の変化なんだろう。そんな疑問を浮かべながらも、残ったぬるい紅茶を飲み干した。
時計はゆっくりと針を進めていく。夜の時間は進みが早いはずなのに、不思議と今日はスローモーションのように遅く感じる。
タルトを乗せていたお皿とティーカップをまとめて台所の流しに運ぶ。すると芥川くんが席を立った。中也さんと太宰は机にだらっともたれ掛かりながら彼を見上げる。
｢……僕が片付けてはいけませんか｣
食器を見ながら呟いた言葉に思わず目を見開いた。座ったままの二人もえ、と声を漏らしている。
｢え、……あ、ありがとう｣
ぎこちなくお礼をして、手に取ったスポンジを芥川くんに渡す。
腕をまくって、スポンジに石鹸を付けて洗い始める姿に、ほぇーと変な声を出しながら太宰と中也の元に歩いていく。
太宰は何故かニヤニヤと笑みを浮かべて私を見ていて、何だかちょっと気味が悪い。
けれど、太宰が帰そうとしていた時の会話を思い出して、ぶわっと顔が熱くなった。
｢……随分懐いたものだねぇ？｣
美形台無しのだらしがない顔。でも私はもっと酷い顔をしているかもしれないから、何とも言えない。
中也さんは特に何も言ってこないけれど、その場の空気を感じ取ったようで黙りこくって一言も喋らない。こういう時の助け舟でしょーが！！、と心の中で叫ぶ。
もう今度中也さん宅に勝手に訪問したら、秘蔵のお高いワインを飲み干してやる。上司だとかもう知らん！昔はいつもこうしてたし！
あえて二人と離れたソファーに座り直す。未だニヤニヤしている太宰の視線から逃れようとテレビを付けると、ちょうどニュースの時間だった。
｢ついに来週に迫りました、〇〇市花火大会！準備も着々と進んでいるようで……｣
どこか遠くに聞こえるキャスターの声をぼーっと聞き流しながら近くのブランケットを取って膝にかける。
太宰と中也さんが何か話をしている。眠たくてそれすら聞き取れない。ウトウト落ちていく瞼に抗えずそっと意識を手放した。
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さくら餅(プロフ) - 紅玉さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました！無事完結させることができて心底ほっとしております。私は貴方様のコメントにギュンギュンしました！笑本当にありがとうございました！！ (2021年2月7日 15時) (
レス) id: 0223a8e0a3 (このIDを非表示/違反報告)
紅玉 - 完結おめでとうございます！！！！尊いのと可愛いので私はギュンギュンしまくってました！！！！(ギュンギュンとはキュンキュンの進化系です！！！！) (2021年2月7日 12時) (レス) id: 835185f078 (このIDを非表示/違反報告)
(=^・^=) - 人虎に会いたい…。 ｂｙ芥川 (2020年12月1日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
(=^・^=) - 厳しいわ。 (2020年12月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ☆天香☆さん» ありがとうございます！！すっごく嬉しいです！文ストはキャラクターひとりひとりが個性的で大好きなので、つい絡ませちゃいます笑コメントありがとうございました！！ (2020年3月12日 21時) (レス) id: 0223a8e0a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら餅 | 作成日時：2019年10月4日 16時
