赤い糸26 ページ26
「成長したな、お前」
テレビの前。友達と二人で無言で会見を見ている。あの言葉はモブくんに言ったんだろうか。
胸が締め付けられる。あの人は何もない自分を変えようとしていたんだ。モブくんに出会ったことで世界に色が付いたんだ。
私は馬鹿だ。あんなに側にいたのに……霊幻さんのこと全然分かってなかった。
「A？」
「ちょっと行ってくるね。お泊まり楽しかった！ありがとう」
「霊幻さん、あんたに惚れちゃうかもね」
「さぁ？どうかな」
私に振り向いてくれなくてもいい。私が霊幻さんを好きだってことは変わらないから。
霊幻さんを幸せにできるのが私じゃないのなら、運命の糸が私と繋がっているんじゃないのなら、私はあなたを諦める。
あなたが笑っているのなら、私は何も文句はない。だって……大好きなの。
中学生の私を撫でてくれた手が、目を細めて優しく笑う顔が、気の抜けた声も全部全部。
大好きです。霊幻さん。
「霊幻さん……！」
「A……？」
「Aさん」
「もうダメですよ！無茶してテレビなんて出るからマスコミにあることないこと書かれるんです。モブくんが来たから丸く収まりましたけど……これに懲りて無茶はしないこと！」
顔を見たら、思ったよりもスラスラ話すことができた。
想像していたよりも何倍も緊張はしたけれど。
「もう……あなたの魅力は、あなたを本当に知ってる人だけが分かってればいいんですから……」
霊幻さんが驚いたように目を見開く。モブくんは隣の霊幻さんをチラリと見ると納得したように目を閉じた。
「……そうですね。師匠の良さは全国の人を集めたとしても、僕たちの方が知ってます」
「分かりました？さ、帰りましょう？私たちの……霊幻師匠」
「……松茸、買っていくか」
「「はい」」
夕日が沈んでいく。ゆっくりと時間を溶かすように。甘いようで切ない。切ないようで、甘い。
三人を照らすオレンジの光が優しく影を写していた。
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さくら餅(プロフ) - 抹茶さん» ありがたいお言葉頂けて光栄です！！もどかしい時間が長かった分、きっと未来では二人で幸せに暮らしてます！ (2019年9月2日 19時) (
レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
抹茶(プロフ) - とっっっっても面白かったです！！未来の2人が幸せに暮らしているところが自然と思い浮かびます！ (2019年9月2日 19時) (レス) id: b5b208b71b (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» コメントありがとうございます。嬉しいです！応援は執筆の力になりますので頑張ります( ´∀｀) (2019年5月2日 15時) (レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - この作品もお話とっても素敵です！作者様の事陰ながら応援しています！体調に気をつけて無理をなさらずに更新頑張ってください！ (2019年5月2日 15時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら餅 | 作成日時：2019年5月2日 12時
