赤い糸で繋ぎ止めて 【霊幻新隆】

赤い糸18 ページ18

それからというもの、バイトの帰りは霊幻さんが必ず迎えに来てくれて送ってくれるようになった。


「腹へったな〜」

「そうですね」


初めはぽつりぽつりとしか会話できなかったけれど最近になってやっとまともに会話ができるようになった。


相談所との空気が変わる気恥ずかしさがだいぶ薄れてポーカーフェイスも上手くなったと思う。……多分。


「ラーメンでも食っていくか？」

「それ、私じゃなかったら殴られてるかもしれないですよ」


私は霊幻さんの人柄を知ってるからそんなことで怒ったりしないけど、年頃の女の子のロマンを全く理解していないな。


「女子高生怖いなぁ」

「勿論、そんな子ばっかりじゃないですよ？」

「分かってるって。下手なフォロー入れなくてもな」


一言多いです……、と唇を尖らせる。


「親御さんに許可取れんなら、家で松茸食っていくか？」

「えっ」

「大量に採ったんだよ」

「松茸……食べたいです」


両親には連絡しておけば多分大丈夫だけど……緊張で手足が震えそう。


「そんなビビんなくても、取って食いやしねぇって」

「私の魅力に霊幻さんが襲いかかってきたら大変だなぁ、と」

「安心しろ。それはない、第一お前の魅力はまだまだ発展途上だ」

「し、失礼ですね……」


でも反論できないのが悔しい。


「ま、魅力の本質っつーのは人間味だからな。その点ではお前は自信を持って良いんじゃないか？」

「そんなこと、ないです……」


あなたを好きになってしまったから、きっといつかあなたを困らせる。


好きな相手にそんなことを思わせてしまう私は……魅力なんて欠片もない。


あなたに釣り合うようにどんなに頑張ったって、私は花の蕾に過ぎない。綺麗な花を咲かせることができないんだ。


「どうした？」

「いいえ、松茸食べたいです」

「おう。分かった、親御さんに連絡しとけよ」


優しく、眩しい笑顔に力なく返事を返した。

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