❄︎ ページ8
静かな保健室に私の大きな声が響く。
「待ってなんで来たん!?」
もう来る事はないと思っていた佐野くんがまた目の前にいるなんて、私はまだ夢から覚めていないのか。
驚いている私に佐野くんは目を逸らし少し俯いて頭を掻いた。
「来たらなんか問題あんの?」
私も落ち着かない心を落ち着かせて、出来るだけ冷静に話す。
「そういう訳じゃないんだけどさ...私昨日君に酷い事言っちゃったし、もう来ないと思ってたんだよね」
「あー確かにあれはちょっと傷付いた!でもあれくらいでせんせーの事嫌いになるわけないじゃん。俺せんせーの事本気で好きだから」
そう言って優しくニコリと笑う彼が私にはとてもとても眩しく見えた。
「...ふふ、君って結構メンタル強いね」
なんて笑うと佐野くんは私の顔をじっと見つめてきた。
「なに?私の顔に何かついてる?」
「やっぱりせんせーは笑った顔が1番可愛いな」
「はいはいありがとう」
嬉しそうに笑う彼を軽くあしらう。
以前は何とかして彼に早く諦めてもらおうと考えていたのに、今となっては嫌われるのが怖いと考えてしまっている。
実際彼が私の事を嫌いになっていないと知った時、嬉しく思ってしまいつい笑みが溢れてしまった。
そんな臆病な心を持っているのは、きっと私が彼の事を少しでも"可愛い"と思ってしまったからかもしれない。
そんなこと佐野くんには絶対に言わないけど。
「これからせんせーに俺を男として好きになってもらうために頑張るからさ、覚悟しててよ」
「何言ってんの、先生は生徒と付き合う趣味はありません!」
君に嫌われたくないけど、期待を持って欲しくもない。
こんなずるい私を好きになるなんて君は本当に変わり者だ。
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作者名:なる | 作成日時:2022年8月9日 15時