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爽やかな風が心地いい5月。
私、雪村Aは中学校の養護教諭として働くのも今年で2年目になる。
仕事にもようやく慣れてきて、忙しいながらも楽しい毎日を送っている。
そんな平穏な日常を送っている私に、ここのところある悩みが出来た。
ただいまの時刻は12時。それはもうすぐ来るだろう。
「Aせんせー、来たよ」
ピシャッと勢いよくドアを開ける音ともう聞き慣れた男の子の声。
「もう、佐野くんまた来たの...」
昼休みや放課後、時々授業をサボって毎回来る彼に思わず呆れた声が出てしまう。
最近毎日のように遊びに来る彼は佐野万次郎くん。
柔らかい金髪の少しやんちゃな中学生3年生の男の子だ。
彼は保健室のベッドを占領するわけでもなく、ただ私とお話する為だけにここに来る。一体何が楽しいんだか。
きっかけは分からないが、どうやら私は佐野くんに気に入られてしまったらしい。
「体調が悪いわけでも無いのにどうして来るの?」
疑問をぶつけてみるも、彼はキョトンとした顔でこちらを見る。
「体調悪くないと来ちゃダメとかあんの?」
「いや、そういう訳じゃないんだけどさ...」
「じゃあ俺病気だから」
「え、そうなの?熱測っとく?」
とりあえず体温計を準備しようとする私の手を制して佐野くんは言う。
「せんせーへの恋の病だから、熱とかじゃないよ」
「...それはね、きっと勘違いだね」
そうやって大人をからかってくるのが本当に困った所だ。
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作者名:なる | 作成日時:2022年8月9日 15時